建設業におけるドローン活用方法|導入のメリット・注意点

建設業では、業務効率化や安全性向上を目的に「ドローン」の導入が急速に進んでいます。
「建設業はアナログな業界」と見なされがちですが、実はICT(情報通信技術)の活用が進んでおり、なかでもドローンは施工管理・点検・測量など幅広い用途で活躍中です。
本記事では、建設業におけるドローンの活用方法や導入のメリット、機種の選び方、注意点などを解説します。
現場の生産性向上や人手不足への対応策として、ドローンの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
建設業におけるドローン活用の可能性

アナログなイメージを持たれることも多い建設業ですが、ドローン活用の先進分野の一つとして注目を集めています。
以前は目視外飛行が厳しく制限されていましたが、現在では法改正によって条件を満たすことでドローンの運用が広がっており、特に建設業ではドローンが一定レベルまでに普及しています。
深刻化する人手不足への対応やICTを活用した生産性向上を目指す取り組みの推進を背景に、建設現場へのドローンの導入が加速しているのです。
ドローンの活用は作業の安全性の向上や効率化、コスト削減といった多くのメリットがあり、現場の運用が大きく変わりつつあります。
国土交通省の活用事例
国土交通省では建設業におけるドローン活用を推進し、以下のような作業の効率化と安全性向上の取り組みを行っています。
- ドローンで損傷箇所を撮影することで橋梁点検車や通行規制が不要になり、コスト削減と利便性が向上
- 砂防施設の3次元データを取得して変状を定量評価し、点検の精度が向上
- ドローンの自律飛行により河川巡視を行い、異常箇所の早期発見や住民への避難誘導を実現
株式会社大林組の活用事例
大林組とKDDIスマートドローンは、Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用したシステムを開発し、建設現場での監理業務を80%削減することに成功しています。
目視外で自律飛行するドローンが建設現場やインフラの巡視、点検、異常検知を自動で行うシステムで、国土交通省から最高評価のA評価を受けました。
建設現場監理者の負担が大幅に軽減され、労働力不足や建設現場の効率化に大きく寄与する可能性を秘めているとしています。
参考:大林組「Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用し、現場監理業務を80%削減」
清水建設株式会社の活用事例
清水建設は大規模土木工事案件に際し、ドローンによる定点観測システムを実施しました。
簡単な操作でドローンの自動飛行・撮影を実現し、工事現場の労働生産性を向上させています。
清水建設社の担当者は、ドローンの活用に以下のような利点を挙げています。
- 渋滞状況の定量的測定や、工事終了後の写真比較による渋滞低減効果を確認できた
- 工事進捗状況の俯瞰写真によって進捗報告が簡易になった
- 現場巡回の削減や発注者の巡回時間を短縮できた
- 空撮画像と図面の比較による工事の正確性を検証できた
- 土地収用時の利害関係者への視覚的交渉の効率化ができた
参考:株式会社CLUE「CLUEが清水建設社にドローンシステムを提供。大規模工事の施工管理で活用。」
建設業でドローンを活用する方法

建設業におけるドローンの活用は、もはや先進的な取り組みではなく、業務効率や安全性を高めるための実践的な手段です。
本章では、建設業でのドローン活用方法をご紹介します。
施工管理に活用する
ドローンを活用することで、工事の進捗状況や現場の安全確認を事務所にいながら行えるようになり、現場担当者の移動の負担を軽減できます。
また、上空から俯瞰的な視点で現場全体を把握でき、観測によって作業現場ごとの進捗管理が可能です。
さらに、こまめなチェックが可能になったことで施工ミスによる手戻りの防止、安全リスクの早期発見、事故防止にもつながります。
点検・メンテナンスに活用
ドローンは住宅の屋根や外壁、高層ビル、ダムといったインフラ設備の点検・メンテナンスに活用できます。
高所や狭所など人が近づくのが困難な場所の検査を、安全かつ効率的に行えるようになりました。
従来の足場設置や高所作業車などの手配が不要になり、時間やコストの大幅な削減が可能です。
測量に活用する
ドローンは、これまで時間と労力がかかっていた広範囲の測量を短時間で完了させるのに活用できます。
特に、山林の急斜面など人が立ち入るのが難しい危険な場所で、安全に高精度なデータを取得可能です。
地上測定だけでなく、低空飛行が得意なドローンの特性を利用して、低コストかつ高精度な航空測量にも対応できます。
ドローンについては、DX実施に活用できるツールとして以下の記事でも取り上げていますので、参考にしてみてください。
建設現場でドローンを活用するメリット

建設現場でのドローン活用には、作業の効率化や安全性の向上など多くの利点があります。
本章では、赤外線カメラを搭載したドローンによる外壁調査を例として、活用するメリットを解説します。
作業時間の短縮
従来の打診調査では、外壁全体のチェックに長時間を要しました。
しかし、赤外線カメラ搭載ドローンなら広範囲の撮影も1日程度で完了し、大幅な効率化が可能です。
予備日を含めても2日程度で済むため、現場での作業時間を大幅に短縮できます。
人員の削減
ドローンを活用すれば足場の設置や解体が不要になり、大幅な人員の削減が可能です。
大型物件でも必要なスタッフは撮影当日の数名にとどまるため、人手不足が課題となる現場にとって大きなメリットを得られます。
人手不足や業務効率化については、DXの観点から以下の記事で解説しています。
事故リスクの軽減
高所での打診調査には、転落などの危険が伴います。
ドローンを使用すれば作業員が足場に上る必要がなく、事故リスクを大幅に軽減できるのがメリットです。
ドローンが落下するリスクは当然ありますが、適切な操縦と飛行管理を行えば安全性を十分に確保できます。
壁面への損傷防止
ドローンを活用すれば建物に接触させず調査できるため、外壁の塗装剥がれやひび割れといった損傷を避けられます。
調査後の補修コストを抑える上でも、大きなメリットです。
入居者への配慮
足場が不要になることで、入居者のプライバシーや日照に配慮した調査が可能です。
窓の近くまで作業員が接近する必要もなく、生活空間への影響を最小限にとどめられます。
客観的なデータの取得
赤外線カメラで撮影した画像は、目視では確認しづらい異常の発見に役立つほか、証拠としても活用できます。
関係者全員で情報を共有できるため、説明や報告の際に説得力を加えられます。
建設業でのドローン活用の始め方|免許・資格は必要か

現在、法的にはドローンの操縦に免許や資格は不要です。
ただし、現場で成果を出すには専門的な知識と操作技術が求められます。
安全かつ正確に操縦できるスキルを身につけるなら、最初のステップとして「ドローンスクールの受講」が現実的です。
建築分野に強いスクールを探す
ドローンを建築業で活用する場合は、建築分野に特化したスクールを選ぶのが効果的です。
建築に強みを持つスクールを運営している管理団体は、以下が挙げられます。
建築関連企業が運営しているスクールを選ぶ
建築業に携わる企業が運営するスクールでは、実務に直結した内容を学べるのが強みです。
例えば、アジアドローンカレッジ東京足立校は、赤外線外壁調査会社が運営しています。
現場経験を元にした実践的なカリキュラムを学べるため、建築業で即戦力として活用できるスキルを身につけられる点が魅力です。
補助金の活用を検討する
スクールでドローンの操縦スキルを習得したら、次は機種の選択です。
ただし、産業用ドローンは50〜300万円程度が相場と高額であり、ドローンの活用を始めるに際してはコストが課題となることがあります。
国の補助金制度「ものづくり補助金」を利用すれば、導入費用を抑えられる可能性があるため確認しておきましょう。
また、企業向けに従業員がドローンスクールで学ぶ費用の一部を助成する制度「人材開発支援助成金」の利用も検討してみてください。
人材開発支援助成金など建設業に関連する補助金については、以下の記事でも解説しています。
建設業で活用するドローンの選び方

建設業でドローンを活用するには、撮影の精度や安全な飛行性能、過酷な現場への対応力など、目的や環境に適した機種を選ぶことが欠かせません。
本章では、建設業で実用性の高いドローンを選ぶ際に重視すべきポイントを解説します。
カメラ性能をチェック
ドローンを選ぶ際は、カメラの性能が重要です。
構造物の細部を確認したり、人の目が届かない場所を調査したりするため、高解像度な映像を撮影できる性能が求められます。
また、ズーム機能を備えているのかもチェックしておきましょう。
離れた場所からでも細部を拡大して確認でき、足場を組まずに安全かつ効率的な調査をサポートします。
障害物回避機能をチェック
建設現場でドローンを活用する際は、障害物を回避できるかどうかが重要なポイントになります。
現場には高層構造物やクレーン、作業員など飛行の妨げになる要素が多く、高い回避性能が必須です。
多くのドローンには障害物検知センサーが搭載されていますが、前方や上下のみなど方向が限られている場合があります。
全方向対応のセンサーを搭載したドローンであれば360度の障害物を検知できるため、複雑に入り組んでいる建設現場でも安心です。
防塵機能をチェック
建設現場は常に粉塵や砂ぼこりが舞っている環境で、ドローン内部に入り込むと故障の原因になる場合があります。
防塵性能を備えているドローンも販売されているので、チェックしておきましょう。
防塵性能は「IPコード」と呼ばれている規格で表示されています。
例えば「IP5X」のように表示されており、数値が高いほど粉塵に強く、過酷な現場でも安心です。
建設業でドローンを活用する際の注意点

ドローンは建設業に多くのメリットをもたらしますが、導入にあたってはいくつかの注意点もあります。
天候に左右される
ドローンは雨や強風など悪天候に弱く、状況によっては墜落や故障のリスクが高まります。
特に、天候が変わりやすい地域では、飛行前の気象確認が欠かせません。
操縦スキルが不可欠
ドローンは法律上の免許や資格は不要ですが、実際の現場では操縦者の技術力が問われます。
未熟な操縦は誤操作や作業の遅延、事故につながるため、必要に応じて講習や民間資格の取得を検討しましょう。
騒音・落下リスクへの配慮
ドローンの飛行音が周囲に迷惑をかける場合や、万が一の墜落による人身・物損事故も想定しなければなりません。
運用する際は機体の点検や飛行ルートの調整を徹底し、安全管理を強化することが大切です。
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建設業におけるドローンの活用は現場の効率化や安全性の向上、人手不足の解消に向けた有効な手段として、今後ますます重要性を増していくでしょう。
ただし、ドローンの導入だけでなく、自社の魅力を発信するための情報設計も同様に重要です。
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