未成工事受入金の定義や仕訳の方法を例示しながら解説 | ミライスタイル

未成工事受入金の定義や仕訳の方法を例示しながら解説

  • ▶︎未成工事受入金とはどのような勘定科目か?
  • ▶︎どのように仕訳をするのか?
  • ▶︎消費税はどのように計算されるのか?

 

このような疑問を持っている人は多いでしょう。未成工事受入金は、一般の商業簿記では扱わないので、個別で理解を深めておく必要があります。今回は未成工事支出金の定義や仕訳のやり方、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。

コラムのポイント

・未成工事受入金は、工事が完了するよりも前段階で受領する工事代金


・いわゆる頭金や中間金などを会計処理する際に使われる勘定科目


・仕訳のやり方自体はシンプルだが、似た勘定科目との混同には注意したい

 

未成工事受入金とは

未成工事受入金は、建設業会計でのみ用いられる特殊な勘定科目の一種。

基本的には、「工事が完了するよりも前段階で受領する工事代金」を示します。わかりやすくいえば「前受金」です。

通常、建設業界では、工事開始前段階、もしくはその途中で工事代金の一部を支払います。通常の会計ではこれを「前受金」として扱いますが、建設業会計では未成工事受入金と考えるわけですね。

なお未成工事受入金は、負債に分類されるのでその点に注意してください。

なぜ負債の扱いなのか

未成工事受入金が負債として扱われるのは、「支払い義務に近い性質を持っているから」です。

未成工事受入金は、入金があった時点で、自社のものになるとは限りません。たとえば工事が何らかの都合でキャンセルされた場合、未成工事受入金と同額を返金する必要があります。

この性質があるなかで、資産としてしまうと、実際にキャンセルが生じた際に会計上の矛盾が生じます。

そのため「支払い義務が(生じる可能性が)あるもの」として考え、負債とするわけですね。

支払い義務が生じなければ、のちに売り上げとなり、生じたのであれば負債として処理する必要があります。

関連記事▶︎未成工事支出金の定義・計算方法・仕訳などを例を用いながら解説

消費税の扱いについて

未成工事受入金は、消費税法にて、「売上を計上した際に課税する」と定められています。つまり入金があった段階ではまだ課税対象外の扱いです。

そもそも負債である未成工事受入金に課税するのは、会計的にはつじつまが合いません。

ただし工事がキャンセルされず、未成工事受入金が売上になった際には消費税が発生します。この点には注意して会計を進めましょう。

未成工事受入金の仕訳(工事完成基準)

未成工事受入金の仕訳は、たとえば以下のように行われます。

 

<例>

A社と、税込1億1,000万円の自社施設建築の請負契約を締結した。その際、3000万円を頭金として受領し、中間金を4000万円とした。その後、引き渡しの1ヶ月後に残額を支払うとした。

 

これは以下のように仕訳します。なお売上高を計算する際は、工事完成基準と工事進行基準、ふたつの考え方があります。ここでは、先に工事が完成と同時に完成工事高が生ずる「工事完成基準」での仕訳を解説しています。

 

【頭金を受領した際】

 

【中間金を受領した際】

頭金、中間金ともに、基本的には現預金との単純な計上で問題ありません。

ただし未成工事受入金は負債であるため、発生にあたっては貸方に記入することに注意してください。

 

【残りの金額を受領した際】

 

工事が完了し、これまでの未成工事受入金を返還する可能性がなくなったため、これを完成工事未収入金とします。また完了時に生じた未成工事受入金も同様です。

貸方に完成工事高を置き、消費税分は仮受消費税とします。これで未成工事受入金の処理は完了です。

【補足】工事進行基準の場合の未成工事受入金の仕訳

一方で、工事完成基準ではなく、工事進行基準で売上を計上する考え方もあります。この場合、「工事が終わる前段階でも、工事進捗度状況に沿って売上をカウントする」ものです。その場合の未成工事受入金に関して解説します。

 

<例>

B社と、税込2億2,000万円の自社ビル建設工事の請負契約を締結した。その工期は2年であった。頭金として2,000万円、中間金は工事初年度に5,000万円、2年目に5,000万円とし、残額は引き渡し後に支払うものとした。契約後、直近の決算時での工事進捗度は50%であった。

 

【頭金受領時】

 

【初年度の中間金受領時】

 

【決算時期】

決算の際は完成工事高を算出しますが、これは税別の請負契約額×工事進捗度で求められます。したがって本例では、2億円×0.5、完成工事高は1億円であることがわかります。

 

そのほか仮受消費税、完成工事未収入金の扱いに関しては、工事完成基準を採用している場合と大きく相違ありません。

ただし決算では、未成工事受入金を完成工事高と相殺するため借方に記入、また工事途中でも仮受消費税が生じるという点に注意してください。

 

未成工事受入金に関するよくある質問

本記事では未成工事受入金の概要と仕訳例に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。

  • ▶︎前受金と何が違うのか
  • ▶︎完成工事未収入金と何が違うのか
  • ▶︎どこまでが未成工事受入金となるのか

 

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

前受金と何が違うのか

前受金は、通常の企業会計においても使われる勘定科目です。これは自社の商品やサービスなどを販売した際に、それにかかる費用の一部が支払われた際に使います。

たとえば車両などの高額な商品を販売した場合、双方の一方的なキャンセルを避けるために、頭金を入れますが、これが前受金として扱われます。

一方で未成工事受入金は、建設業会計にのみ存在する勘定科目です。

建設業では、建築物が商品とするなら、それを完成させるまで相当な期間がかかります。

さらに期をまたぐことも珍しくありません。それをより簡潔に会計処理できるように、未成工事受入金が使われています。

未成工事受入金と前受金は非常に似たものですが、こと建設業会計では別々のものだとする理解が必要なので、覚えておきましょう。

完成工事未収入金と何が違うのか

完成工事未収入金とは、建設業会計において、「建物が完成しているものの、まだ回収されていない、それにかかる代金」を意味します。

一般的な簿記における「売掛金」のようなものだと考えて問題ありません。また資産に該当します。

一方で未成工事受入金は「建物が完成するまでに先払いされ、手元に残っている代金」です。

これはキャンセルが生じ、返還義務が発生することを想定して、負債となっています

似た名前ですが、その性質、また「そもそも負債か資産かどうか」も異なるので注意しましょう。

どこまでが未成工事受入金となるのか

基本的に「完成していないにもかかわらず請求し、支払われたお金」が、未成工事受入金になると考えて問題ありません。

まとめ

本記事では未成工事受入金に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • ▶︎未成工事受入金とは、工事が完了するよりも前の段階で受領する工事代金
  • ▶︎つまり頭金や手付金、中間金などが未成工事受入金に該当する
  • ▶︎仕訳自体はシンプルだが、似た勘定科目との混同に注意が必要
  • ▶︎負債の扱いになるので注意
  • ▶︎工事完成基準、工事進行基準で仕訳のやり方が分かれているので注意

 

建設業においては、一般の商業簿記では扱わない特殊な勘定科目が、しばしば使われます。また未成工事受入金のみならず、未成工事支出金をはじめ、類似した勘定科目があるので、きちんと使い分けられるようにしましょう。

また工事完成基準と工事進行基準、どちらを選択しているかによっても仕訳のやり方ができる点などに関しても注意が必要です。

関連記事▶︎未成工事支出金の定義・計算方法・仕訳などを例を用いながら解説

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