建設キャリアアップシステムとは?事業者側の導入メリット5つと導入ポイント
外国人技能実習生の登録義務化が施行されるなど、ますます対応が急務となる建築キャリアアップシステム。業務効率化など様々なメリットがあるとされているものの、そもそもどのようなシステムなのか、本当に導入した方が良いのか、などわからないことがたくさんありますよね。
そこで今回は、建設キャリアアップシステムの概要やメリットなど、システム導入にあたって知っておきたいポイントをまとめてご紹介します。
コラムのポイント
・技能者情報を登録・蓄積して適正な評価を行い、建築事業者の業務負担を軽減するための仕組みを建築キャリアアップシステムといいます。
・システム導入のメリット5つと導入方法をまとめました。
■建築キャリアアップシステムとは
■建築キャリアアップシステム導入のメリット5つ
■建築キャリアアップシステムの導入方法
■早い段階での建築キャリアアップシステムを導入を!
目次
■建築キャリアアップシステムとは
建築業に関わる技能者の現場就業履歴や保有資格、社会保険勧誘状況などを登録・蓄積することで、適正に技能者を評価し、建築事業者の業務負担を軽減するための仕組みを建築キャリアアップシステムといいます。
仕組みを整えることで、
・若い世代がキャリアパスや処遇に見通しを持つことができる
・技能や経験に応じて給与を増やすことができる
・技能者を雇用し育成する企業が成長できる
このような建設業界を目指し、国土交通省と一般財団法人建築業振興基金が連携して推進しています。
参考:【CCUSポータル】建設キャリアアップシステムの概要:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/ccus_about.html
参考:CCUS(建築キャリアアップシステム)について:一般財団法人建築業振興基金
https://www.ccus.jp/p/about
建築キャリアアップシステムの概要
建築キャリアアップシステムの運用は、以下の流れで行います。
技能者情報を登録する
事業者側は、現場名やどのような工事を行うのかといった情報をシステムに登録します。技能者側は、本人情報や保有資格、社会保険勧誘状況をシステムに登録します。
カードの交付・現場での読み取り
技能者用に、キャリアアップカードが発行されます。技能者は現場で作業にあたる際、カードをICカードリーダーにかざして就業履歴を登録します。就業履歴はデータ化され、個々のキャリアとして蓄積されます。
技能者の能力評価
設定された基準をもとに技能者はレベル分けされ、適正な評価や処遇改善が行われます。
建築キャリアアップシステム導入のメリット5つ
建築キャリアアップシステムの導入について、本当に必要なのか疑問に思う点も多々あるかもしれません。しかし、自社の業務効率化や労働環境改善など、建築キャリアアップシステム導入には様々なメリットがあります。
メリット① スキルやキャリアを把握しやすい
複数の現場で様々な仕事をする技能者は、どのようなスキルを持ちどういったキャリアを歩んできたのかがわかりにくいのが現状です。しかし建築キャリアアップシステムを導入すれば、技能者のスキルやキャリアをみえる化できます。
今までは難しかった、適切な能力に合わせて処遇改善を進めることができるでしょう。
メリット② 働き続けたいと思える環境を整えることができる
建築キャリアアップシステムを導入して評価基準を構築することで、勤続年数や役職だけでは測れない個々の能力をレベル分けできるようになります。成長意欲や経験値に合わせて自身のキャリアプランを練ることができる労働環境が整い、この業界で働き続けたいと若者を中心に思ってもらえるようになります。
メリット③ 事務作業の効率化
技能者情報はすでに登録されているため、名簿や書類作成のような事務作業を効率的に行うことができます。手作業で行われることが多かった事務作業が簡素化されることで、記入漏れや見落としといった人為的なミスを減らし、業務改善や労働時間の短縮につなげることができます。
メリット④ 業務コストの削減
社会保険加入状況の確認や採用コスト、事務作業にかかる人件費、データ化されていない書類保管スペースなど、建築キャリアアップシステムを導入することで不要な業務コストを削減することができます。
その分、安定的に経営をするための事業拡大や業務改善にコストをかけられるようになり、会社の成長が期待できます。
メリット⑤ 建築キャリアアップシステム導入事業者としてアピール
「建築キャリアアップシステムを導入している事業者」として、効果的にアピールすることができます。
元請業者に対しては、自社の能力や施工者の技術を分かりやすく提示できるので、技術力をかってもらうことができます。また、建築キャリアアップシステムを導入していれば公共事業を請け負う際加点されるケースもあるので、優良企業としてアピールすることもできます。
建築キャリアアップシステムの導入方法
建築キャリアアップシステムの導入は、以下の手順で進めていきます。(2022.8月現在)
事業者登録をする
事業者登録は、
・インターネットでの申請
・認定登録期間窓口で申請
どちらかの方法で行います。申し込み後、審査が行われます。
システム利用料の支払い
建築キャリアアップシステム利用には、3つの登録料がかかります。
⒈ 技能者登録料
建設キャリアアップカード発行に必要な料金で、発行日から9年経過後最初の誕生日までが有効期限です。
インターネットで申請する場合
簡略型(技能者の基本情報のみ登録して発行):2,500円
詳細型(技能者の保有資格情報なども合わせて登録して発行)4,900円
認定登録機関で申請する場合
詳細型:4,900円
⒉ 事業者登録料
建築キャリアアップシステムを事業者が利用する際に必要な登録料です。登録後5年後の登録月末までが有効です。事業者の資本金額をもとに、登録料は決まります。
一人親方 0円
500万円未満(個人事業主含む) 6,000円
500万円以上1,000万円未満 12,000円
1,000万円以上2,000万円未満 24,000円
2,000万円以上5,000万円未満満 48,000円
⒊ 管理者ID利用料
事業者情報や現場情報を管理するために必要となる、管理者ID を利用するための料金です。取得、更新日から1年間有効で、毎年支払いが発生します。
1IDあたり 11,400円(税込)
登録時は以上3つですが、利用を続けるにあたって現場利用料(現場で技能者の就業履歴を登録するためにかかる料金)も別途必要になります。
事業者情報の登録完了後、事業者IDの付与
申請が通った場合、約1か月後に事業者IDが付与されます。
早い段階での建築キャリアアップシステムを導入を!
建築キャリアアップシステムの登録は任意ですが、導入することで業務効率化や企業価値アップなど様々なメリットがあります。導入にあたって費用や手間はかかりますが、それ以上の恩恵を受けることができるので、迷っているのであればぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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