賃貸広告は公正競争規約に則って記述するのが大切
- ▶︎賃貸広告を出す際のルールがわからない
- ▶︎どこに気をつければよいのかわからない
- ▶︎いわゆる「おとり広告」に該当するのが心配である
上記のように考えている担当者は多いでしょう。
賃貸広告の出向方法に関しては、宅地建物取引業法などによって厳格なルールが設定されています。 これを理解していなければ、自社が罪に問われたり、いわゆる「おとり広告」として批判されたりするかもしれません。
本記事では建築業界専門のWEB運用会社 (株)ミライスタイルが以下の点を解説します。
- ▶︎宅地建物取引業法による規制
- ▶︎公正競争規約による規制
- ▶︎「おとり広告」に該当しないための注意点
賃貸広告を出そうと考えている人は、ぜひご参考にしてください。
目次
宅地建物取引業法による賃貸広告の規制
賃貸広告を出す際には、「宅地建物取引業法」という法律と、「公正競争規約」という建築業回が独自に定めたルールを守らなければいけません。 うち宅地建物取引業法では、以下3つが規定されています。
- ▶︎誇大広告の禁止(32条)
- ▶︎広告開始時期の制限(33条)
- ▶︎取引態様の明示義務(34条1項)
誇大広告の禁止とは、「著しく事実とかけ離れた、もしくは事実よりも優良であると誤認させるような広告を出してはいけない」ことを示しています。売るつもりがない、あるいは売れない優良な賃貸物件に関する広告も、この条項に違反するものです。
広告開始時期の制限とは、「建物が工事完了前にあるなら、それを実現する際に必要な開発許可・確認が済んでいなければ、広告を出してはいけない」というルール。いわゆる「青田売り」は、同項により違法だとされています。
取引態様の明示は、「誰が不動産契約に基づく売買・交換を成立させるのか明らかにしなければいけない」というルールです。つまり自社が担当するのか、それとも代理人がおこなうのか明示しなければいけません。
上記3点が、宅地建物取引業法による賃貸広告に対する規定です。やや難解は部分であるため、実際の条文を通読するのをおすすめします。
公正競争規約による賃貸広告の規制とルール
賃貸広告には、宅地建物取引業法に加え、「不動産の表示に関する公正競争規約(以下、公正競争規約)」も関係します。
これは法律ではありませんが、公正取引委員会が管轄しているルールであり、法律同様に遵守しなければいけません。 同規約に違反しないように、以下の点を理解する必要があります。
- ▶︎表示基準どおりに記載する
- ▶︎特定用語を違反する形で使用してはいけない
- ▶︎不当表示をしてはいけない
- ▶︎明示義務があれば必ず記載する
弊社から見ても、これらを遵守していないケースが多々あります。上記点に関して、それぞれ解説するのでご参考にしてください。
表示基準どおりに記載する
公正競争規約によれば、賃貸広告では以下の表示基準を遵守しなければいけません。
- ▶︎取引態様
- ▶︎物件の所在地/売主・買主・仲介者
- ▶︎交通利便性/駅やバス停からの距離
- ▶︎物件の形質(使用された材料など)
- ▶︎写真・絵図(実際の写真・図面)
- ▶︎賃貸料
- ▶︎生活関連施設
- ▶︎設備・施設
- ▶︎住宅ローン/割賦販売条件
- ▶︎面積
- ▶︎周辺施設までの距離・所要時間など
これらを定められた方法で記載する必要があります。具体的な基準はすでに弊社下記記事で解説していますので、ご参考にしてください。
WEBでも気を付けたい不動産広告のルール|実際の違反事例をチェック
賃貸・売買に関わらず不動産の広告には消費者を守るためのルールがありますが、ポータルサイトや自社ホームページにも適用されることはご存知でしょうか?InstagramやFace…
弊社でなく、原文を確認したい際は「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」をが参考になります。
特定用語を違反する形で使用してはいけない
賃貸広告では、特定用語を違反する形で使用してはいけません。一例として以下が挙げられます。
- ▶︎「完ぺき」「万全」などの完全性の表現
- ▶︎「お買い得」「激安」など、安価な印象を与える表現
- ▶︎「地域ナンバーワン」「日本初」「抜群」など優位性を強調する表現
これらの特定用語を、根拠なく使用してはいけません。
といっても「万全」であったり、「本初」であったりを根拠立てるのはほぼ不可能です。したがって上記の用語は賃貸広告で使用するべきではありません。
不当表示をしてはいけない
また同規約は以下のような不当表示もかたく禁じています。
- ▶︎写真や絵図の加工
- ▶︎異なる物件のイメージパース
- ▶︎存在・非存在にかかわらず、実際には取引できない物件
不当表示に該当しやすいケースとして、契約済みの物件広告の消し忘れが挙げられます。これは上記した「実際には取引できない物件」と判断されるかもしれません。
したがって賃貸広告では、常に最新の契約情報に基づいた更新が必要です。
弊社から見ても消し忘れで危うい事態に陥る業者は少なくありません。きちんと契約情報の更新をタスク化して、消し忘れを避けるのがおすすめです。
明示義務があれば必ず記載する
公正競争規約では、例えば以下の事実に関して明示義務があるとされています。ただし一部は土地に関連したものであり、賃貸広告に関連づく義務は多くありません。
- ▶︎高圧線下にある物件である傾斜地に該当する
- ▶︎都市計画施設の区域にかかる土地である
- ▶︎セットバックを要する事実
- ▶︎市街化調整区域に該当する
- ▶︎計画道路区域内である
- ▶︎不整形地に該当する
賃貸広告の規定確認について
そのほかにも公正競争規約では、細かいルールが規定されています。これに関しては規約原文を確認したり、有資格者に問い合わせたりして、規約上問題ないか確かめるのが重要です。
あるいは不動産公正取引協議会などのFAQも参考となるでしょう。
賃貸広告ではおとり広告に該当しないように注意
賃貸広告では、特に「おとり広告」に該当しないように注意する必要があります。
おとり広告とは、「売る意思のない物件」に関する広告のこと。これを利用して集客し、実際には別な物件を紹介するという手法です。
実際におとり広告を出稿したとして問題視されたケースもあります。
2017年、首都圏不動産公正取引協議会は、ポータルサイトにお取り広告を出していた不動産業者42社に広告掲載の中断を要請。 さらに順次広告停止処分が課されています。
処分対象になった場合は、最低1ヶ月、広告が出稿できなくなるとのことです。
また42社のうち一部は社名と経営責任者名がSNS上で出回っており、経営に対して大きな影響が出ています。
なお具体例に関しては弊社の以下記事でも解説しているので、ご参考にしてください。
WEBでも気を付けたい不動産広告のルール|実際の違反事例をチェック
賃貸・売買に関わらず不動産の広告には消費者を守るためのルールがありますが、ポータルサイトや自社ホームページにも適用されることはご存知でしょうか?InstagramやFace…
まとめ
本記事では、賃貸広告にかけられた規約やルールを解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- ▶︎賃貸広告には宅地建物取引業法と公正競争規約によるルールが定められている
- ▶︎前者では「誇大広告の禁止」・「広告開始時期の制限」・「取引態様の明示義務」が規定されている
- ▶︎公正競争規約では、さらに細かい表示基準や明示義務などが定められている
- ▶︎双方のルールを理解し、法律に違反したり、一般消費者から批判されたたりしないようにするのが重要
賃貸広告では、利益先行の考えにより不誠実な出稿を繰り返すケースが多々あります。
物件を魅力的にアピールのは重要ですが、行き過ぎると法律違反となり、最悪の場合免許を取り消されるかもしれません。
関係法律による規定を正しく理解し、フェアに自社の物件をアピールするようにしましょう。
(株)ミライスタイルは、建築業界を専門とするWEB運用会社です。
建築業界のトレンドを常に先取りし、ニーズに寄り添った集客力の高いメディアをご提案しております。
また弊社には不動産関係の資格を取得した人員も多数おり、建築のノウハウや知識も十分に取り揃えています。
もちろん制作するだけでなく、その後の継続的な運用代行も可能。 オンライン相談もお受けしておりますので、WEB制作・運用をお考えのご担当者さまは、ぜひ一度ご相談ださいませ。