新設住宅着工戸数2022年から2023年への推移から見る注文住宅の危機の原因と対策について | ミライスタイル

新設住宅着工戸数2022年から2023年への推移から見る注文住宅の危機の原因と対策について

新設住宅着工戸数の推移に関して、国土交通省の資料を参考にすると、2022年4月~2023年3月の新設住宅着工戸数は、前年度より0.6%減少しました。その中で、マンションを含む分譲住宅や賃貸住宅の数は増えている一方、注文住宅の新設数は11.8%減少しました。

注文住宅に携わる建築会社にはどのような対策が必要なのでしょうか?

 

コラムのポイント
 新設住宅着工戸数の推移をみると、分譲住宅は増加していますが、注文住宅は減少しています。
注文住宅の新築数を減少させている複数の原因は、今のところ解決される見通しが立っていません。
注文住宅に顧客を呼び戻す為には周到な広報戦略が必要です。

 

 

新設住宅着工戸数2022年の推移と2023年度の見通し

2022年4月~2023年3月 新設住宅着工戸数の推移
総戸数 注文住宅 貸家 分譲住宅
マンション 戸建て住宅
全国 0.6%減 11.8%減 5.0%増 4.5%増
4.5%増 0.1%増
首都圏 1.8%増 13.3%減 3.8%増 3.7%減
15.4%増 2.2%増
中部圏 5.6%減 11.4%減 0.3%減 3.7%減
5.9%減 2.4%減
近畿圏 4.6%増 10.2%減 14.2%増 4.1%増
13.2%増 4.5%減
その他の地域 3.3%減 11.7%減 3.5%増 2.3%増
5.5%増 0.7%増

国土交通省:建築着工統計調査報告

全国的な推移を住宅の種類別にと比較すると、総戸数の増減に違いはありますが、注文住宅は減少、中部圏を除いて、貸家と分譲住宅が増加しています。

建設経済研究所からは、2023年度の新設住宅着工戸数が前年度比0・4%減の85万戸になるという見通しが発表されています。

新設住宅着工戸数の中で注文住宅が減少している原因

住宅街の中の注文住宅

過去を振り返ると、景気の変動に伴って新設住宅着工戸数は増減を繰り返してきましたが、コロナ以降は、特に低迷する時期が続いています。その原因には注文住宅が以前より高額になったことと、家計が厳しくなっていることが挙げられます。

注文住宅が以前より高額になった

平和な状態が続いている日本では、関心を持たない人も少なくありませんが、ロシアのウクライナへの侵攻は、日本の経済にも影響しています。電気やガス料金の高騰は家庭にも負担がかかっていますが、建築資材が高騰する原因のひとつにもなっています。

ロシアから日本への木材の輸入量は、ロシアが行った木材輸出禁止措置による影響は直接的な原因にはなっていません。ただ、日本では欧州からの木材を大量に輸入しています。その欧州ではロシア、ベラルーシ、ウクライナから輸入していた針葉樹が滞っている為、日本への木材の輸出量が減少しました。

同時に、アルミニウムや銅などの供給不足も続いています。アルミニウムはサッシやカーテンレールの他に、柱や梁にも使われることがあります。銅は、配管や冷暖房設備などに必要です。

また、ウッドショックによる影響もあります。根本的には国産材より安価に入手できる輸入木材に頼ってきたことや、ウッドショックが発生した2020年に日本が買い控えをした為、木材の輸入量が減少したことが原因で、輸入木材が高騰しました。さらに、輸入木材の高騰によって国産材の価格も上昇しました。

2023年3月に公表された林野庁の資料を見てもその状況は続いています。

参考資料:林野庁 ⽊材需給動向について

注文住宅を購入できる人が減少している

平均的な年収が増えているにもかかわらず、生活にゆとりがないという家庭が増えています。収入が増えるほど納税額が上がり、子育て中には公的な補助金や控除が減額されてしまうこともあります。子どもを1人成人させるまでには、家を1軒建てる費用と同じだけの教育費がかかるとも言われています。

そして、注文住宅を建てようと決心するタイミングは、多くの場合子どもの誕生や、就学です。賃貸ではなく、持ち家でのびのびと子育てをしたいと考えるご夫婦が多いからです。ただ、子育て中に新築するとなると、教育ローンと住宅ローンを並行して返済していかなくてはならない状況になってしまいます。

その結果、ローコストの分譲住宅に流れる人が増加していると考えられます。この状況を打破する為に、個人の会社でできる対策を練っていく必要があります。

新設住宅着工戸数減少の影響を回避する為の考え方

建設業のコンサルティング

注文住宅を専門にしている建築会社には、主に2つの対策が考えられます。

ローコストの分譲住宅に流れていく顧客を取り戻すことと、家づくりの方法への選択肢を増やすことです。

ローコストの分譲住宅に流れていく顧客を取り戻す

注文住宅の良さは、それぞれの建築会社が持つこだわりと自社の住宅へのプライドの下で、顧客が自由に家づくりに取り組めることです。ローコストの住宅にはない品質の良さと自由度があります。

一方、ローコスト住宅には、現在の賃貸住宅と住宅ローンの返済価格がほぼ同じであるという魅力があります。また、土地の購入費と建築費に対して、住宅ローンの他につなぎ融資を受けなければならない煩雑さもありません。

間取りプラン作成の為の話し合いにかける時間も短縮できるので、子育て中や共働きのご夫婦にとって分譲住宅は、注文住宅と比較すると安く手軽にできる家づくりです。

ただ、住宅は長く暮らす場所です。家を建てたご夫婦にとって終の棲家になるだけでなく、子や孫にも受け継がれていきます。

いつまでも快適な暮らしが続く高品質な家であり、家族構成と家族の価値観にぴったりと寄り添う家は、注文住宅でなくては実現しません。また、土地探しや住宅ローンへのサポートができることもアピールポイントのひとつにできます。

それらの良さを全面的に打ち出して、外食や趣味にかける費用を倹約してでも、この会社で家を建てたいと思わせる為の広報戦略が必要です。

家づくりの方法への選択肢を増やす

社会的に経済状況が良いとは言えない現状では、子育て世代のご家庭が、ローコストの分譲住宅や、フルリノベーションをすることを目的に中古住宅を購入するケースが多くみられます。ただ、住宅の新築には高額な資材費がかかるので、それを削れば住宅の品質が低下してしまいます。

住宅の品質と自社のこだわりを守りつつ、程度問題はありますがローコストに流れる顧客を呼びもどす対策も必要です。

また、近年はリフォームでの家づくりも増えています。自宅を全面的にリフォームするケースやリフォーム目的で中古住宅を購入するケースがあります。このようなケースにも対応すると、家づくりの選択肢が増えるので、顧客の幅が拡がります。

この会社で家を建てたいと思ってもらう為の広報戦略

この会社で家を建てたいと思わせる為の広報戦略

自社だけが実現できる注文住宅の良さを、できるだけ多くの人に知ってもらうことが広報戦略の第一歩です。

チラシや看板などは、既に実地されていらっしゃることと思いますので、その他の方法について考えていきましょう。

自社の物件を体感してもらう

大手ハウスメーカーのように、常時モデルハウスを公開し続けるとコストがかかり、その分建築費が上がってしまいます。そこで、期間限定で新築住宅をモデルハウスとして公開したり、OB宅訪問見学会などを開催したりして、自社の住宅の良さを周知するという方法が考えらえます。

注文住宅の難しさのひとつは、完成した家を見学できないということです。画像や模型だけでは、内装の質感や空気環境の良さ、間取りと動線の関係などを確認できません。モデルハウスがあれば、それらの良さをアピールできます。

WEBを利用して発信の幅を広げる

ホームページなら既にあるが集客に役立ってはいないという会社もあることと思います。ただ、自社のホームページはインターネット上の様々なコンテンツを利用する上で、基地ともなる場所です。

基本は、住宅へのこだわりや特色をアピールすること、自社の概要を伝えて信頼を得ることですが、YouTubeやツイッターなどSNSの中継地点としても役立ちます。

もし現在ホームページがあるのに、周知や集客に役立っていないという場合には、運営方法が適切ではないということが考えられます。ホームページは生き物なのでただあるだけでは機能しません。鉢植えに水やりをしないと枯れてしまうように、日々新しい情報を足していかなくては、周知や集客に役立つ発信ができないのです。

ホームページを「役立つツールとして会社の発展に役立てたい」とお考えになった際にはお気軽にご相談ください。

 

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著者情報

ミライスタイルライター

ミライスタイル ライター 大住友子

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