会社の財務指標で重視するのは、「現預金残高」だけで良いのではないか
会社をかじ取りしていると、財務の面で様々な数字が大事に見えてきます。売上総利益も大事で、経常利益も大事で、自己資本比率も大事で、流動比率も大事で、、といった具合です。ただ2つ以上の数字を重視したり、数字だけを追い求めると、実態の現場で起こっている事との乖離が起こってくると思います。
例えばですが
①自己資本比率を重視しすぎると借入という選択肢を取らず、投資・攻めが弱くなり、結果として現預金が増えていかない
②営業利益を重視しすぎると短期の目線になり、必要な未来への投資やマーケティングや人材などへの先行投資が行われない
③売上高を上げようとすると、会社の労働生産性が落ちる事が有る
④流動比率を重視すると短期借入金を嫌うが、逆に長期借入金を重視すると毎月の元金返済で資金繰りが悪化する
⑤会社の価値を上げようとすると純資産を積み上げる事で相続税評価額も上がり、将来の事業承継が難しくなる
⑥労働分配率は低いほうが良いというが、実際には多く分配した事によって組織が出来る
といった矛盾が、至るところで起こってきます。
当社はIT企業の中でも銀行借入をするスモールビジネスで、急展開にもっていかずにプロダクトを改善しながらじわじわと再現性有る販売を繰り返し、財務基盤を良好にしながら進んでいく、という会社のかじ取りをしています。
その場合、財務指標の中で何か一つを重視する数字を選ぶという事を考えると「現預金残高」だけでいいのではないか、という事に気付きました。現預金を潤沢に持っている事が当社の場合は、ほとんどの数字を良好にし、好循環を生むセンターピンであると思っています。
今は円安が進んでいるので、日本円の現金で持つ事は当然リスクも有ります。国内の特定の市場のみのビジネスモデルの為、自社の営業利回りや総資産利益率がこの先の円安や人口減の環境に勝てるかを考えると、厳しい環境にはなると思います。
その中で賃上げをしっかり行っていきたいので、まだまだ次の一手・リスクヘッジ方法が有るのではないかと毎日模索しています。
会社はマクロ経済の向かい風は関係なく、クライアントのWEBサイトと当社は今後の国内・建築住宅業界の逆境の中で生き残る方法を模索し、何が有っても必ず抜け道を見つけて打開すると決めています。
様々な条件が有りますが、とはいえ、ひとまず当社のような中小企業が日本円の現預金残高を分厚くするのは間違ってはいないと思います。預金が増えると現況維持の思考が解かれ、攻めの姿勢と具体策が出てくるからです。
現在は固定費の1年分以上・月商の6カ月以上の現預金をストックしていますが、この先も更に伸ばしていきます。
その中で、資金繰りを良くするアイディア、正確な経理、万が一の守りを固める投資を進めていきたいと思います。
目の前の取引を深く提供して売上高の急拡大を追わず、持続可能な成長を作っていきたいと思います。
そして数字だけを見ていると気付づけないリスクが会社のかじ取りでは地雷のように転がっています。
コアメンバーからの情報を集め、次の一手をつねに先手を取って打っていきたいと思っています。
数字を見るのが仕事なのですが、今後も数字に溺れる事なく「実際の現場で何が起こっているか」という会社の実態を見る事も怠らず行っていければと思います。