近年、ビルの省エネ化や利便性・安全性向上のため、スマートビルが注目を集めています。
スマートビルは、最新のテクノロジーを駆使し、建物内の様々なデータを統合管理することで、リアルタイムで効率化を図る建物のことです。
この記事では、スマートビルに関する以下のトピックについて詳しく解説します。
- ・基本的な仕組みや市場規模
- ・メリット・デメリット
- ・注目を集めている背景
- ・導入事例
スマートビルは急速に普及しており、その背景や可能性を正しく理解することが、ビジネス戦略において重要な役割を果たします。
コラムのポイント
・近年、スマートビルが注目され、最新テクノロジーを活用して建物内のデータを統合管理し、効率化を図る取り組みが進んでいます。
・スマートビルは省エネ化や安全性向上、業務効率化など多くのメリットを持ちます。
・スマートビル市場は拡大を続け、特にアジア太平洋地域での成長が著しいです。
スマートビルとは最新テクノロジーで効率的に管理・運用する建物
スマートビルとは、建物内に設置されたセンサーや最先端の技術を活用して、自動的に設備を制御し、効率的に運用するシステムを備えたビルです。
センサーによって収集された情報に基づいて、照明や空調などの設備が統合的に制御され、エネルギー消費などが最適化されます。
また、ビル内にいる人々の利用状況などを詳細に把握し、業務効率化・利便性向上に活用することもできます。
したがって、スマートビルは建物の運用と管理に革新をもたらす革命的なシステムだといえます。
スマートビルのシステム「BEMS」とは?
スマートビルにおいて、主要な役割を果たすシステムが「BEMS」です。
BEMSは「Building Energy Management System」の略で、建物内のエネルギー管理を自動化し、効率的で快適な環境を実現するシステムです。
具体的には、空調や照明などの施設の利用パターンをセンサーで常時モニターし、ビル内のエネルギー使用状況を解析します。
そのデータをもとに、不必要なエネルギーの消費を削減し、必要に応じて照明や空調を制御します。
さらに、BEMSは過去のデータや最新のエネルギー情報を分析して、将来のエネルギー需要を予測することも可能です。
これにより、管理者は効率的なエネルギー利用を促進するための戦略を立てることができます。さらに、省エネ化にも大きく貢献します。
したがって、BEMSはスマートビルの中核的なシステムとして位置づけられています。
スマートビルの市場規模・将来展望
スマートビルの市場規模は、着実に拡大を続けています。
2021年の市場規模は726億米ドルでしたが、年平均成長率10.9%の割合で増加し、2026年には1,216億米ドルに達する見込みです。
特にアジア太平洋地域が市場の成長に大きく寄与し、2030年までに約1,664億米ドルに達するとされています。
昨今、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の進化の影響を受けて、世界中であらゆるものの「スマート化」が進んでおり、住宅や商業ビル、集合住宅もその大きな流れに乗っています。
また、スマートビルの普及はスマートシティの実現にも寄与しており、将来的にますます成長が期待される市場の1つです。
出典:PR TIMES|スマートビルディングの市場規模、2026年に1,216億米ドル到達予測
出典:株式会社グローバルインフォメーション|スマートビルディングの市場規模、シェア、動向分析レポート
スマートビルが注目を集めている理由
近年、スマートビルが注目を集めている理由は大きく分けて3つあります。
セキュリティの向上
スマートビルでは、センサーや監視カメラを活用して、建物内外の異常な動きや不審者の侵入をリアルタイムで検知し、セキュリティの向上を図ることができます。
また、セキュリティ分野の国内市場は拡大傾向にあり、関連する分野も成長が見込まれています。
CO2排出量の削減
環境保全の観点から、CO2の排出量を削減できる点も魅力の一つです。
スマートビルはエネルギーの最適な利用と再生可能エネルギーの活用により、CO2排出量を削減します。
これにより、地球環境への負荷を軽減することが可能です。
ソーシャルディスタンスの確保
新型コロナウイルス感染症対策として、人が密集する事態を避け、ソーシャルディスタンスを確保する必要性が高まっています。
スマートビルでは、センサーとデータ解析を活用して建物内の人の流れや密度を制御し、ソーシャルディスタンスの確保を支援します。
スマートビルのメリット・デメリット
ここでは、スマートビルの利点や課題について詳しくみていきましょう。
スマートビルのメリット・利点
メリットや利点は以下の4つが挙げられます。
- ・省エネ化
- ・安全性の向上
- ・快適な環境の実現
- ・業務効率化
それでは1つずつ見ていきましょう。
省エネ化
スマートビルでは、データ分析とエネルギー機器の連携によって、ビル内のエネルギー消費を最適化できます。
人のいないエリアでは自動的に照明を消すことや、空調を調整することで、無駄なエネルギー消費を削減します。
これにより、エネルギーコストやCO2排出量を削減し、環境への負荷を軽減することが可能です。
安全性の向上
スマートビルでは、セキュリティ体制の強化により、ビルの安全性を高められます。
人の動きや入退室状況を監視し、情報漏洩の防止や、不審な活動を検出することができます。
また、火災や災害の早期検知と対応も可能です。
快適な環境の実現
スマートビルでは、温度や湿度、酸素濃度の管理や混雑緩和、入退室管理の効率化などが実現できます。
これにより、居住者や利用者の快適性が向上します。
業務効率化
スマートビルでは、従業員の業務効率を向上させることも可能です。
出退勤の自動化やフロア内の警備など、AI技術を活用した管理システムによって、業務プロセスが効率化されます。
これにより、従業員は快適な環境で作業でき、生産性を向上させることができます。
スマートビルのデメリット・課題
デメリットや課題は以下の3つが挙げられます。
- ・システムのセキュリティリスク
- ・トラブルが起きた際の損害
- ・初期費用が高額
それでは1つずつ見ていきましょう。
システムのセキュリティリスク
スマートビルでは、ビル全体のセキュリティがシステムによって支えられている点に注意が必要です。
スマート化によりセキュリティが向上する一方で、システム側にも適切な対策が求められます。
トラブルが起きた際の損害
スマートビルの管理システムに問題が発生した場合、甚大な損害を被る可能性があります。
例えば、空調などのシステムと連動しているIoT機器が機能不全に陥り、ビル全体に影響を及ぼします。
初期費用が高額
スマートビルの導入・構築には多額の初期費用が必要であり、運用コストもかさみます。
長期的な視点で見れば、業務効率化や省エネ化によりコストを回収できる可能性はありますが、その保証はありません。
したがって、導入には慎重な検討が必要です。
スマートビルを実現するテクノロジー
スマートビルの実現には、以下のようなテクノロジーが用いられています。
- ・IoT技術
- ・AI技術
- ・5G通信技術
- ・デジタルツイン技術
それでは1つずつ見ていきましょう。
IoT技術
IoT(モノのインターネット化)技術は、建物や家電などをインターネットに接続し、遠隔操作や監視、デバイス同士の連携を可能にする技術です。
IoTセンサーはビルの各所に取り付けられ、各種デバイスの状態や利用環境、利用者のデータがリアルタイムで管理者に届きます。
AI技術
AIは、大量の収集データの分析や異常検知を行うのに不可欠です。
例えば、空調や設備の制御にAIを活用することで、迅速かつ効率的な管理を可能にします。
5G通信技術
5G(5th Generation)は超高速・低遅延の通信を実現し、多数のデバイスを同時に接続できる特徴があります。
スマートビルでは、大量の情報を高速でやり取りする必要があるため、5Gは不可欠です。
デジタルツイン技術
デジタルツイン技術は、現実空間から得たデータを仮想空間で再現する技術です。
スマートビルでは、災害の想定実験や設備の故障を予測することなどに活用されます。
スマートビルの事例
ここでは、実際の事例を紹介します。
東京ポートシティ竹芝
東京ポートシティ竹芝は、ソフトバンク株式会社と東急不動産株式会社によるスマートビルで、最新のIoT技術が活用されています。
このビルでは、カメラやセンサーが室内外に設置され、以下のようなデータを収集します。
これらの情報は、快適な環境の提供と効率的なビルの管理に活用されます。
また、テナントやビル利用者に向けて、リアルタイムな情報提供が行われ、スマートな生活環境を実現しています。
The Edge(オランダ)
The Edgeは5階建てのオフィスビルで、欧州で最高水準の環境性能を誇るオランダ・アムステルダムのスマートビルです。
このビルには、およそ28,000個のセンサーが組み込まれていて、従業員の効率的な働き方や快適な生活をサポートしています。
例えば、従業員が車で到着するとシステムが空きスペースへと自動的に案内することや、アプリを使って暖房や照明などを操作することも可能です。
The Edgeは、その高い環境性能と先進的な働き方が世界中で注目されています。
まとめ
スマートビルはIoT技術やAI技術を駆使して、利用者の利便性・安全性を向上させることを目的とした建物です。
スマートビルにおいては、センサーやカメラなどのエッジデバイス(ネットワークの末端に接続された機器)によるデータ収集や、AIを用いたリアルタイムでのデータ解析が必要不可欠です。
これらの技術を活用することで、ビル管理者や利用者は多くのメリットを享受できます。
今後、日本でも普及・進化が予想されているため、目が離せません。
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