WEBディレクターが養うべき眼について
WEBディレクターのメンバーが増えてきており、当方もその中に入ってWEB運用のディレクションを行っています。
そんな中で、WEBディレクターが養ってゆくべきスキルとして「物事を複数の角度から見る眼」というものが大事だと感じています。
これについて、一つ例を出してみたいと思います。
昨年の今頃の事を思い浮かべていただくと、昨年は今年と同じように3月・4月ごろはコロナが徐々に酷くなりました。そして5月のゴールデンウィーク明けから、アナリティクスのアクセス数が一気に上がってゆく会社が多く有りました。
この傾向について
①単純に記事の効果が上がっている
と分析するのと
②検索アルゴリズムの変化が5月4日頃にあった。そのアルゴリズムの方向性は記事元の信頼性を評価する方向性で、その傾向を把握した上で記事構成を一年前から仕込んでおいた事と、5月という住宅業界が毎年動く月の傾向といった複数の要素が影響した。
といった分析を比べると、後者のような分析が出来たほうが事実に近いのではないかと思います。
この時に①の場合は「記事を書けばアクセスが上がる」という単一の目線しかないのに対して、②については
・アルゴリズムが5月4日頃に変化したという情報
・そのアルゴリズムの方向性
・その会社がそのアルゴリズムの傾向を把握したうえで多数記事を投稿していた(という一次情報)
・毎年5月は住宅業界の集客が良くなる
といった複数の眼を持てている事によって、クライアントに対して、実際起こっている事に近い解説と次の策につながってゆくと思います。この眼の数は、一つの事象に対して多く持つ事により分析の質が無限に高まってゆくような、指数関数的なものです。
そして、これは商品・サービスが飽和して成熟した昨今のWEB運用を考える時に、大きな世の中の傾向とも関連性があると思います。
今は高度成長期のように「決まった答え」に向かって教育から仕事・人生のモデルケースが組み立てられていた頃の日本と違って「決められた答え」が無い状況だと思います。それぞれが幸せに過ごしてゆくために「自分はこれで良いんだ」と思える状況に向かうというのが、昨今の価値観なのではないかと思っています。
会社の向かう方向性も個人と同様で、それぞれの会社にとっての最適解を見つける方向性になってきていると思います。
WEB運用についてもこのような時代の価値観と同じように特定の決められた答えが無かったり、とあるWEB上の一つのデータについても複数の要因が絡み合ったカオス的なものとなっています。
そんな中でWEB運用=会社・事業そのものと考えると、「その時の会社・事業にとっての最適解」をクライアントと一緒に見つけたり、WEBのデータについてもそのクライアントに紐づいた複数の要因から分析と策をご提供するのがWEBディレクターの仕事だと思います。
このような仕事を行うWEBディレクターにとって重要なのは「物事を複数の角度からみる眼」を持つ事なのではないか、と思います。
物事を複数の角度からみる眼を養うために必要なこと
複数の角度から見る眼を養うためには最も良いと思うのが読書です。
読書の効果は単に知識が増えるだけではなく、自分がその本の主人公になって色んな人の眼を持つことができるので、WEB運用の頭のトレーニングになっていると思います。
そのことに気づいたとき、WEBディレクターは無条件で仕事や生活の一部に読書を組み込んでほしいと思い、それはもうおせっかいなくらい「本だけは読んでおいて!」と会社のメンバーに伝えるようになりました。(みんな家族と子供との時間もあるので、なかなか時間とれない事もあるんですけどね^^;)
本を読むのは仕事の合間というスタンスではなく本を読む事が仕事そのものなのではないかと思います。
また在宅ワークの良さの一つなのですが、非同期通信でタスクや連絡を待つ細切れ時間ができやすく、オフィスワークよりも読書の時間がとりやすくなったな、と思います。その日のタスクを朝5時~9時の始業前に終わらせて、始業後に新たに出てきたタスクの合間で仲間にコメントして返信を待っている間などに読書をしています。
また読書とともに、常に視野を広げて総合的なデジタルマーケティングの知識を広げて吸収してゆくことが大事です。一つの分野を掘るだけでは部分最適にとどまり、最適解を出すための眼の数が足りないと思っているからです。
マーケティングと商品企画
PL/BS
ブランディング
広報・PR
プレゼンテーションスキル
リーダーシップとマネジメント
チーム構築
SEO、MEO
ライティング
コンテンツマーケティング
LTV
CRM
カスタマージャーニー
広告の考え方
リスティング広告(PPC)
ディスプレイ広告
SNS広告
アフィリエイト
LP
広告クリエイティブ
アドテクノロジー
メールマーケティング
マーケティングオートメーション
ファネル分析とKPI
PDCAとA/Bテスト
UI/UX
LPOやEFO
アナリティクスやサーチコンソール
アプリのマーケティング
HTML/CSS/JS/PHP
イラストレーター・フォトショップ
MSオフィスとPCリテラシー
サブスクリプション
AI・DX・OMO
等
WEBディレクターの経営人材が勉強しないといけない領域は、ぱっと思いつくだけでこんなにもあります。
隙間時間にこれらのキーワードでネット検索をしたり、フォローしている専門家のブログ等を読む習慣をつけてゆくだけでも、知識がどんどん増えてゆきます。
さらにこのような知識を広げるのとともに、一人で頑固になりすぎないというのも大事だと思っております。
自分もそうなのですが、一人で事業をゼロから作ってきた会社の社長は徐々に頑固になる(笑)という傾向があると思いますが、WEB運用のディレクションにとっては、これが仇になると思っています。
最近、会社をやっていると一人の意見より複数の人の知恵を集められたほうが断然良いと感じる事が多いです。
常に「自分ひとりの知識はたかが知れている」というスタンスで硬くなった頭を解し、みんなの意見を集めて可能性を広げるスタンスが良いのではないかと思います。
ということで、WEBディレクターにとって「物事を複数の角度から見る眼を養う事」が今の時代に合ったWEB運用を行う上で大事なのではないかと思います。
実践の中でチームで視野を広げ、日々底上げしてクライアントにお届けしてゆきたいと思っております。