2022住宅市場の今後をデータでチェック|工務店がとるべき施策 | ミライスタイル

2022住宅市場の今後をデータでチェック|工務店がとるべき施策

新築住宅着工数

現在の住宅市場は、新型コロナウイルスの流行、ウッドショックなどの影響を受け大きな変化を見せています。

また少子高齢化が進むこれからの日本では、新築・中古住宅ともに市場は縮小していくことが予測されています。

今回は新築・中古などを含む住宅市場のデータを見ながら、今後工務店どのような施策を取るべきなのか考えてみましょう。

 

■新築着工数

 

・2021年までの新築需要

将来の住宅需要を考える前に、まずは直近までの新築着工数のデータもチェックしておきましょう。

新築着工数グラフ

抜粋:国土交通省 建築着工統計調査報告(https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jutaku_list.html

国土交通省の調査によると、2021年の新築住宅着工数はコロナ過の影響を大きく受けた前年より増加しました。

注文住宅やセミオーダー住宅がメインとなる持ち家の新築着工数は約28万戸で、コロナショックが発生する前の水準に戻っています。

テレワーク普及による郊外住宅需要の増加、ライフスタイル重視の家づくりなども着工数を後押ししているようです。

分譲住宅は前年比で微増になっているものの、コロナ前の水準よりは減少しました。

 

分譲住宅着工数

分譲住宅着工数の内訳を見ると、一戸建ては増加、マンションは減少していることが分かります。

コロナ過による波はあるものの、現時点では新築一戸建ての需要自体は大きく落ち込んでいることはないようです。

もし現状でいったん落ち込んだ集客が回復していないようなら、何かしら改善すべきポイントがあると考えるべきかもしれません。

コロナ過によって購買行動は大きく変化しています。オンライン相談やVRモデルハウスなど、新しい集客手法を検討してみましょう。

 

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・2040年までの新築需要

2010年をピークに人口が減少している日本において、新築住宅の需要が減少していくのはほぼ間違いないと言われています。

 

少子高齢化のグラフ

抜粋:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/001087737.pdf

国土交通省の推計によると、2040年の人口は2,000万人近く減少すると見られています。

65歳以上の高齢層は今より増加し、新築購買のメイン層である30~40代前後の人口減少はかなり大きい予測です。

このような推計を基に、新築需要は中長期的に減少していくことが予想されます。

例えば野村総合研究所は、2020年の81万戸から2030年は65万戸、2040年には46万戸まで減少する見込みだと発表しています。

出典:野村総合研究所(https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2021/cc/0608_1

 

確実に縮小していくこれからの住宅市場では、競合と差別化できる明確なコンセプトや強みが不可欠です。

なるべく早い段階から顧客に選んでもらえる仕組み作りを始めることが、限られた市場の中で生き残るポイントになっていくかもしれません。

 

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■中古住宅市場

 

中古住宅市場についても、コロナの影響はあったものの2021年以降は回復基調です。

既存住宅販売量指数

抜粋:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001474316.pdf

2020年にコロナ過で大きなマイナスがありましたが、2021年はコロナ前の水準に回復しています。

中古住宅需要の増加については、リーズナブル価格で思い通りにリノベーションしてマイホームにするニーズが大きいようです。

 

中古住宅予測

抜粋:矢野経済研究所(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2893

矢野経済研究所の発表によると、2025年の中古住宅市場は50,000戸まで拡大すると予測しています。

拡大の要因としては、低金利の住宅ローン、中古住宅に対する税制優遇措置などが挙げられています。

年々上昇している空き家率の課題解決のため、国や自治体が中古住宅購入を推進している点も有利に働きそうですね。

中古+リフォーム・リノベーションが一般的になってきたことで、物件探しと施工のワンストップ体制の会社も増えてきています。

新築メインの工務店でも、今後はOBのリフォームを中心に、中古住宅を対象とした展開も必要になってくるかもしれません。

 

■ウッドショック

コロナ過と連動して住宅市場に大きな影響を与え続けているウッドショックも、今後の動向が気になるところです。

国やメーカーで国産材の増産を促すような動きもありますが、生き物である木を扱う以上、結果が出るまではまだ時間がかかりそうです。

 

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また森林大国と呼ばれているロシアのウクライナ侵攻も、新たなウッドショックの火種になることが危惧されています。

2022年1月の木材輸入実績

抜粋:林野庁(https://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/yunyuu/attach/pdf/boueki-73.pdf

2022年1月の木材輸入実績では、ロシア産の製材が91億円を占めています。ロシアは日本を非友好国とみなし、木材の一部や製材の輸出を停止すると発表。ロシア産の木材を使う新築現場ではすでに影響が出ているところもあり、今後さらに木材供給のひっ迫、価格の高騰が予想されます。

第一次ウッドショックでは、アメリカ産の木材高騰につられてほかの木材にも需要が集中、価格が上昇しました。ロシア材を使っておらずまだ影響が出ていない工務店様も、第一次と同様に大きな影響を受ける可能性があります。仕入れ先と密に連絡をとり、常に最新情報をキャッチアップしてすぐ対策を取れるようにしておきましょう。

 

■省エネ住宅化の流れ

 

今後の住宅市場に大きな影響を与えうる、省エネ住宅関連のこともチェックしておきましょう。

2025年からスタートする新築住宅の省エネ義務化などをはじめ、脱炭素社会に向けた省エネ住宅化の流れも加速が予測されます。

2021年4月からはじまる省エネ説明義務化は、その流れの準備段階の一つと言えるでしょう。

 

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また2022年度の住宅ローン減税制度では、ZEH・長期優良住宅と一般住宅の控除適用の借入上限額に明確な差が設けられています。

 

※住宅ローン控除の借入限度額

長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,000万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円
その他の住宅 3,000万円

 

このような差が設けられているのは、省エネ住宅を推進する動きの明確な現われです。2024年以降はさらに借入限度額の引き下げが予定されています。省エネ住宅関連の補助金制度なども増えており、今後はより省エネ住宅の優遇が進むと思われます。

 

省エネ住宅はイニシャルコストの高さから普及が進んでいませんでしたが、今後は標準仕様になっていく可能性が高いです。

2025年の省エネ義務化直前では対応が難しいですし、競合と比較される際実績が無いと不利になり得ます。

国や大手の省エネ関連の動きを常に収集し、出遅れないように少しずつ準備を進めるのが望ましいでしょう。

 

■まとめ

コロナ過によって大きな変化が起きている住宅市場ですが、今後もさまざまな動きは加速していくことが予想されます。

未来を完全に予測することはできませんが、常に最新情報をキャッチして変化に備えることが、これからの住宅市場を生き抜くために必要となります。

建築業界関連のニュースや関係省庁のプレスリリースなどを頻繁にチェックしてみて下さい。

 

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著者情報

茂田啓良

茂田啓良(株)ミライスタイル ライター 

リフォーム営業マン・監督、エクステリア職人を経験しました。プラン提案、現場管理、施工と様々な視点から家づくりに関わって得た経験と知識を活かし、暮らしに役立つ情報をお届けします。

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平野雄介

平野雄介(株)ミライスタイル 代表

筑波大学大学院人間総合科学研究科 建築専攻卒。ゼネコンの現場監督,木造躯体供給会社,構造設計事務所のWEB担当を経て独立。建築業界専門のWEB運用会社 株式会社ミライスタイルを創業。

保有資格 一級建築士

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