建築業界におけるDXの必要性と工務店の取り組みアイデア | ミライスタイル

建築業界におけるDXの必要性と工務店の取り組みアイデア

DXのイメージ

少子高齢化により市場規模が縮小していくこれからの建築・建設業界では、常に変化していかなければ生き残るのは難しい状況です。

特に建築業で必要性が叫ばれているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。

今回は建築業界DXが必要な理由や、工務店の具体的な取り組みアイデアなどを詳しく掘り下げて解説します。

 


目次
■DXとは
■建築業界DXの必要性
■工務店のDX取り組みアイデア
■建築DXを成功させるポイント


 

■DXとは

タブレットで打ち合わせするスタッフ

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、経済産業省では次のように規定してしています。

 

企業は、既存のビジネスから脱却して、新しいデジタル技術を活用することによって、新た

な価値を生み出していくことが求められている。

引用元:経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討

 

もともとDXはスウェーデンの大学教授エリック・ストルターマン氏が提唱した概念です。

ただデジタルツールを導入して業務効率化するだけでなく、私たち建設業の働き方や日々の生活をより良く変革していくことが最終的な目的となります。

 

■建築業界DXの必要性

昨今建築・建設業界でDXの必要性が叫ばれているのには、さまざまな要因があります。

 

・2025年の壁

2025年の壁の説明資料

引用元:経産省(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf)

経済産業省は、2018年にまとめた『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中でDXの重要性について解説しています。

「2025年の壁」は要約すると、DXを実現できないまま2025年以降を迎えると、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという内容です。

これは経済界全体の話ではありますが、建設・建築業界も他人事ではありません。

特に建築業は「レガシー産業」と言われるほど昔ながらのシステムや商習慣が多く残っており、必然的にDXの必要性も高い状況です。

 

・人手不足解消

大規模建設の現場

建設業で慢性的に続いている人手不足解消にも、DXの推進は大きな意味を持ちます。

厚生労働省が令和4年3月にまとめたデータでは、一般職業(パート除く)の有効求人倍率1.25に対し、建設業は4.3倍とかなり人手が足りていないことが分かります。

建設・建築業界人手不足の原因は複数ありますが、残業や休日出勤の常態化など厳しい雇用状況で若い人材の獲得が難しいことが大きいです。

このような状況を改善し若い人材を獲得するためにも、DXによる業務効率化は欠かせない取り組みの一つと言えるでしょう。

 

■工務店のDX取り組みアイデア

 

・ネット集客

クレバリーホーム城東店のホームページ

建築・住宅業界でも当たりまえになりつつあるホームページやSNSを使ったネット集客も、DXの一種と言えるでしょう。

インターネット集客は従来のオフライン施策より細かい分析が可能になります。効率よく集客することで顧客獲得単価が下がり、利益アップやリーズナブルな価格設定など会社・顧客双方にメリットが生まれます。

既にホームページがある工務店様でも、従来のチラシ集客をインターネット経由に切り替えていくことは重要なことです。

 

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・顧客管理

見込み・見積もり・OBなど各段階の顧客情報管理も、DXで取り組むべき分野の一つです。

顧客管理システム(CRM)は、属人的な営業手法からデジタルで一元管理することで業務効率や契約率をアップさせられる可能性があります。

見込み客へのアプローチやOBの定期訪問などを一元管理して可視化すれば、漏れをなくして機会損失を防ぐことができます。

紙資料のように検索の手間や紛失リスクがないため、OBを担当していた社員が離職していてもそれまでの履歴がすぐに分かるのも効率化ポイント。

 

・クラウド管理

見積もり・商談・現場管理・アフターフォローなどの業務を、クラウド上で共有・一元管理するのも代表的なDXの取り組みです。

例えば見積もり・発注・施工スケジュールをそれぞれ別のソフトで管理していた状態が、クラウド上ですべてつながればかなり業務効率化できますよね。

商談内容や工事進行などの共有も容易にできるため、伝達の手間軽減やミス防止にもつながります。

管理職が全社員の業務量を把握することができるため、適切な仕事の割り振りでオーバーワークを防ぐのにも役立つでしょう。

 

・オンライン顧客対応

ビデオチャットを活用したオンライン顧客対応は、比較的ハードルが低く導入しやすいDX事例です。

新型コロナウイルスの流行を機に、建築業界でもオンライン相談のニーズが一気に高まりました。

遠方の顧客や子供が小さく来場しにくい顧客など、通常の対応では取りこぼしていたニーズに対応できるのもオンライン対応のメリットです。

一対一の住宅相談のほか、多人数対象の家づくりセミナーなど、定期的にオンラインイベントを開催する工務店も増えています。

また契約後の打ち合わせをオンライン化できれば、移動時間短縮になり業務効率化も図れます。

 

・無人モデルハウス

スマートモデルハウスのホームページ

コロナ過で対人接客を避ける顧客が増え、非対面方式の無人モデルハウスを導入する工務店も登場しています。

無人モデルハウスは、住宅展示場で営業をかけられるのが苦手なユーザーの来場も期待できます。

スタッフを常駐させる必要が無く、予約制にすれば顧客リストも自動で獲得できるため追客も可能です。

工務店側・顧客側どちらにもメリットが大きく、購買行動を大きく変えてくれるDXアイデアと言えるでしょう。

 

無人モデルハウスについては、弊社がWEBサイト制作をお手伝いした企業もご紹介できますので、お気軽にお問合せ下さい。

参考

 

 

■建築DXを成功させるポイント

 

・現場に目を向ける

建築業界に限ったことではありませんが、DXの成功には現場で働く従業員の理解が掛かっています。

トップダウンでITツールを導入しても、実際に現場のスタッフが扱えなければ意味がありません。

ITツールが得意なスタッフと苦手なスタッフで成果に差が出ないよう、導入の手順策定や扱いやすいツール選定をする必要があります。

経営陣がただ命令を下すのではなく、何故DXが必要なのか、導入によって会社・スタッフ・顧客にどんなメリットがあるのかまで理解してもらうことも大切です。

社内一丸となってDXに取り組むことが、成功の大きなポイントとなります。

 

・顧客ニーズを分析する

前述したDX事例のうちオンライン対応や無人モデルハウスなど顧客向けの施策は、お客様のニーズを分析し理解することが大切です。

どんなに良いツールを導入しても、自社の見込み顧客のニーズが無ければ意味はありません。

例えば「子供が小さくてお店に行きにくい」という悩みを持つ顧客が居て初めて、オンライン対応のニーズが生まれるのです。

DXを推進する際は顧客からの要望をさらい出してから、必要なツールやサービスを導入しましょう。

普段の接客で聞き取り調査したり、アンケートを実施したり、さまざまな方法でニーズを分析してみてください。

 

・分析⇒改善を続ける

DXはデジタルツールを導入して終わりではなく、効果を分析し、結果をフィードバックして改善を続けていかなければ意味がありません。

見積もりや現場状況をクラウド化することで、どれだけ業務効率化できたのか。ネット集客でどれくらいの反響があり、いくらぐらいの成約につながったのか。

効果が出ても出なくても、結果を分析し改善することがさらなる効果につながります。

体制を整えただけで満足せず、常に進化していくことがDX成功のポイントです。

 

■まとめ

建設・建築業界で生き残り利益を拡大していくためには、DXは欠かせない取り組みの一つです。

すぐに結果を出すのは難しい施策も多いですから、早い段階から少しずつ取り組んで少子高齢化時代に備えましょう。

自社完結でDXを進めるのが難しい時は、アウトソーシングも上手に活用してみてください。

 

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著者情報

茂田啓良

茂田啓良(株)ミライスタイル ライター 

リフォーム営業マン・監督、エクステリア職人を経験しました。プラン提案、現場管理、施工と様々な視点から家づくりに関わって得た経験と知識を活かし、暮らしに役立つ情報をお届けします。

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平野雄介

平野雄介(株)ミライスタイル 代表

筑波大学大学院人間総合科学研究科 建築専攻卒。ゼネコンの現場監督,木造躯体供給会社,構造設計事務所のWEB担当を経て独立。建築業界専門のWEB運用会社 株式会社ミライスタイルを創業。

保有資格 一級建築士

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