不動産における“エスクロー”とは?アメリカの現状から見る日本の今後について
不動産取引において、最近注目されているのが「エスクロー」です。
アメリカを初めとした海外では、不動産取引においてごく一般的に取り入れられています。
日本でまだまだ聞き馴染みのない言葉ですが、今後法整備が進んで普及する可能性は決して低くありません。
そこで、今回は不動産におけるエスクローについて、基礎知識やメリット、アメリカの実情、日本の今後についてを紹介します。
「聞いたことはあるけどよく分からない」「不動産取引事情を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
■エスクローとは?どんなメリットがあるの?
■エスクローが当たり前のアメリカ
■日本でもエスクローは広まる?今後はどうなる?
■まとめ|日本でもエスクローが不動産取引のスタンダードになる可能性も
■ アメリカにおいては、不動産取引でエスクローを利用することは一般的ですが、日本においてはまだまだ普及していません。
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目次
■エスクローとは?どのようなメリットがあるの?
エスクロー(英:Escrow)とは、不動産に限らず、M&Aなどの企業買収やその他数億単位での多額なお金をやり取りするシーンにおいて、売主にも買主にも関係しない中立的な立場の“第三者”が間に入り、代金決済の安全性を担保する仕組みです。
信頼できるエスクローサービス会社が取引に関わることで、以下の点を公平にチェックしてもらえます。
- ・取引内容の精査
- ・費用の透明性、妥当性
- ・取引対象物の問題有無
- ・売買代金の受け渡し、
- ・権利の移転、権利証の交付の執行
大きな金額の動く取引など、慎重を期したい取引について、公平性・安全性・透明性が保証されます。
「エスクローする=代金が信託に設定される」こととなり、買主がエスクローサービス会社へ支払った代金は、一度検収されて、売主・買主双方の確認の元、売主へ支払われます。
そのため、「代金を支払ったのに権利が移転しない」などのトラブルを未然に防げるのです。
ちなみに、多額の金額がやり取りされる取引だけではなく、意外と身近なシーンでもエスクローが取り入れられています。
例えば、「楽天あんしん取引」や「モバペイ」、「Yahoo!受け取り後決済サービス」、「ヤマト運輸・オークション宅急便」など、匿名性の高い個人間の取引でも活用されており、安心して金額のやり取りができるようになっているのです。
不動産取引においてエスクローを行うメリットは主に6つあります。
■売主は、全代金の存在をしっかり確認した後に、引き渡し準備の手続きを進められる。
■途中でキャンセルした場合など、取引解除になった際にも、支払い済みの代金返還がスムーズ。
■売主・買主による十分な同意を確認できる。
■物件に関する開示情報の提示期限や、正確性が担保される。
■開示された情報がしっかりプロによって公平に精査される。
これらが保証されることによって、買主・売主双方にとって“安心な取引”が成立するのです。
■エスクローが当たり前のアメリカ
アメリカにおけるエスクローの歴史は古く、1947年にまで遡ります。
カリフォルニア州で初めて導入されたエスクロー制度は、今やアメリカの不動産取引においては必須のシステムです。
売買契約を結ぶ際に、買主・売主の両者がエスクローを設定し、全ての代金が決済されて無事に登記変更が完了し、不動産の権利が移った時点で終了します。
エスクローが設定される期間は、一般的な住宅の場合10〜30日程度です。
アメリカでは、エスクローサービスを請け負う会社(エスクローエージェント)は州から認可を受ける必要があり、1年ごとに更新されるため、常に新しく正確な知識を持つことを求められます。
また、タイトル(所有権)保険会社(Title Insurance Company)を兼ねている会社が多いため、登記情報をすぐに確認することができるため、スムーズな所有者移転が可能です。
タイトル保険会社は、不動産売買の契約が成立した後に、対象となる不動産の所有権や抵当権、税金の未払いなどに関するレポートを作成し、後からレポートに記載されていない問題があっても、その損害額を補償してくれるサービスを提供してくれます。
そのため、アメリカでは不動産取引において詐欺などのトラブルはほとんどなく、透明性・安全性が高いのが現状です。
一方、日本では未だ「地面師(土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、代金をだまし取る詐欺手法)」や「手付金詐欺(買主が手付金を支払った途端、売主との連絡が途絶える持ち逃げ詐欺)」の発生件数は少なくありません。(参考:一般社団法人 不動産適正取引推進機構|地面師詐欺事案から考える我が国の不動産取引と米国のエスクロー制度)
そのため、日本においてもエスクローの普及は求められています。
■日本でもエスクローは広まる?今後はどうなる?
日本国内の不動産取引において、エスクローが用いられるケースはまだそれほど多くありません。
なぜなら、一般的には買主と売主による“相対取引”が基本だからです。
不動産仲介業者はあくまでも物件探しのサポートをすることが業務であり、取引の正当性や正確性を保証することはありません。
つまり、通常の不動産売買においては、取引から決済まで統括して管理・保全する役割のある人はいないのです。
近年では一部の大型取引や投資目的の取引ににおいて、エスクローが設定されているケースもありますが、一般的な住宅取引までは浸透してません。
その理由は、エスクローサービスを提供するためには資格が必要で、新規参入のハードルが高いことにあります。
■「管理型信託業登録」を受けていること。
■「信託業兼営認可」を受けた金融機関であること。
日本において信託業務を行う上で係ってくるのが「信託業法」ですが、実は1922(大正11)年に制定されて以来、2004(平成16)年まで全く改正されてきませんでした。
改正の目的として、金融庁は以下を挙げています。
経済社会の様々な信託のニーズに対応するため、
○受託可能財産の範囲の拡大
○信託業の担い手の拡大
○委託者・受益者の保護
が図られ誰もが安心して利用できる仕組みの構築を主な内容としています。
(引用:金融庁)
しかし、その改正も既に20年近く前であり、広まりつつあるエスクローには、未だ対応しきれていません。
2010年に施行された「資金決済に関する法律」によって、信託業を営んでいる企業以外にも、認可を受けていればエスクロー取引をすることができるようになりましたが、取引額は100万円以下と少額にとどまっています。(参考:一般社団法人 日本資金決済業協会)
そのため、多数の住宅取引に対応しきれるエスクローサービス会社が足りていないのが現状です。
しかし、今後は不動産取引においてもネット決済や遠隔地取引、非対面取引取引が増えることは容易に想定できます。
そのため、今まで住宅取引を専門に取り扱ってきた中小規模の不動産会社にとっても、今後は決して関係ないという訳にはいかないでしょう。
不動産業界において、登記変更を請け負う司法書士業務と、決済保証をするエスクロー業務の両方を担う業種が、一般的に普及する日もそう遠くはないかもしれません。
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■まとめ|日本でもエスクローが不動産取引のスタンダードになる可能性も
エスクローとは、売買取引において買主・売主双方が安心できる仕組みです。
特に大きな金額をやり取りする不動産売買においては、今後さらに普及することが期待されています。
他社との差別化を図るために、エスクローサービスを導入する会社も増えてくるかもしれません。
常に最新の情報や有益な情報をエンドユーザーに届けることで、顧客を獲得することも必要です。
そのためには、自社のホームページやSNS運用は欠かせません。
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