地域No.1工務店はホームページで何にフォーカスするか | ミライスタイル

地域No.1工務店はホームページで何にフォーカスするか

工務店ホームページはフォーカスの視点が重要

御社はホームページをどのような目的で活用していますか?建設業のホームページ開設率は96.7%。中小規模でも90%の工務店さんが自社サイトをお持ちです。しかし、どれだけ有効に集客やマーケティングに活用されているかというと、問題意識をお持ちの方が多いのが実際ではないでしょうか。そこで今回はお客様から選ばれる工務店ホームページ制作の鍵となるフォーカスの視点について考えてみたいと思います。

ホームページ開設の目的は?

総務省「通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、

 建設業のホームページ開設率は96.7%

従業員300人以下の中小企業でも90.4%が自社ホームページを保有している

ことになります。また、同調査の平成29年度版によると、ホームページ開設の目的は以下のようになっています。

ホームページの開設目的

総務省「ホームページ開設目的」に関する調査結果のグラフ

  • 会社案内、人材募集 7%
  • 商品やイベント等の紹介、宣伝 1%
  • 定期的な情報の提供 7%

出典:総務省「平成29年通信利用動向調査報告書(企業編)

 

一方、ソーシャルメディアサービスの活用状況は、建設業では26.0%にとどまっています。ちなみに、先進的にソーシャルメディアを活用している企業の利用目的は、以下の通りです。

ソーシャルメディアの活用目的・用途

総務省「ソーシャルメディアの活用目的・用途」調査結果のグラフ

  • 商品やイベント等の紹介、宣伝 9%
  • 定期的な情報の提供 0%
  • 会社案内、人材募集 1%

出典:総務省「平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)

 

以上から、ソーシャルメディアの利用率は今後の伸びしろがあること、また、主に商品やイベントの販促目的などで利用されていることがわかります。

 

工務店におけるホームページの役割を考える

先ほどの総務省調査からもわかるように、工務店さんが自社のホームページを活用する目的は、

・いますぐ客の集客

・そのうち客の育成

・人材の採用

・取引先、地域社会、社員のご家族などステークホルダーとのコミュニケーション

といった様々な目的があります。

以前は、会社案内として名刺代わりに作成するところから始める企業さんも多かったのですが、最近は、さらに具体的な目的を明確に設定して、集客用あるいは採用用といった目的別に開設するケースも増えています。

 

御社はホームページをどのような目的で活用していますか?

例えば、営業目的を優先し、いますぐ客からの問い合わせの受け皿として活用するなら、リスティング広告からの誘導を図るランディングページ(検索エンジンからアクセスを誘導するための単一ページ)の設置だけでもミニマムなホームページにできます。

次の段階として、せっかくアクセスしてくれたお客様に、多くの施工事例やOBの声の紹介、直近のモデルハウスやイベントへの参加への誘導、さらには、企業への信頼を獲得するために理念や家づくりへのこだわりを伝えるページなどに回遊してもらい、興味喚起ができた状態で問い合わせをしていただく「カスタマージャーニー」の導線を持たせたホームページを活用するのが一般的となっています。

 

詰め込みすぎには注意

カスタマージャーニーが設計されたホームページを作成したとしても、あれもできます、これもできます、というホームページになってしまっては、自社の強みがお客様に伝わらない可能性があります。

コラム「工務店ホームページで自社の強みをどう伝え集客するか」でも触れましたが、何でもできる器用な工務店さんは何が特徴なのかわからないホームページになってしまう場合があります。代表的なお客様の人物像となるペルソナを設定し、ペルソナが御社の魅力を理解し、家づくりの考え方に共感してくれるように、貴社の強みや特長にフォーカスしたホームページを作りこんでいく必要があります。

 

ホームページで自社ブランドの認知度を高める

ブランドを確立するにはクロスメディアで継続的に情報を発信し続けることが重要

地域密着型の工務店さんの場合、その地域における自社ブランドの確立を目指されていると思います。そのためには、いわゆる「認知度」を高める必要があります。

認知度には2段階あります。まず、「知っている」という段階。そして「差別化されている」という段階です。

知っているという段階は、社名、商品・サービス名、ロゴなどを見て、パッと御社の名前やイメージが浮かぶという認知度です。例えば、地方の場合、幹線道路沿いの野立看板に社名、商品名、ロゴなどを全面的に打ち出した広告を掲載するといった方法があります。

次に、差別化されているという認知の段階は、御社の特徴は何で、どんな価値が提供され、その結果、どのような喜びが生まれるのかといった具体的なイメージが浮かぶ状態です。この地域で「平屋といえば●●工務店」といった、商品ラインナップなどと御社の社名がセットになって想起される段階です。この段階になれば、ホームページで御社のサイトがパッと表示された瞬間になじみのある状態から関係がスタートでき、購買のプロセスにつながりやすくなります。

 

認知は集中から

ブランド認知は「集中」がポイントです。米国ハーバード大学経営学院教授のマイケル・ポーターの戦略論に、コストリーダーシップ、差別化、集中という3つの考え方があります。このうち経営資源を特定の事業、地域、ターゲットに集中させることで、差別化やコストリーダーシップなどの競争優位性を生み出す基礎となる「集中」の考え方は、地域密着型工務店の戦略においても重要な考え方です。

例えば、先ほどの看板やホームページの例で言えば、限られた予算の中で看板を3枚だけ出せるとします。近隣の3つの市にそれぞれ1枚ずつ設置するだけでは、たまたま見る人がいるという程度の認知になるかもしれません。しかし、1つの市の特定地区の誰もが通る道路に3枚看板を建てれば、その地区内の住民の認知度は確実に高めることができるでしょう。プールの水を青くするのはすぐにはできなくても、コップの水を青くするのはスポイト1滴の青い水さえあれば、すぐにでもできるということです。

この狭域マーケティングは投資効率もよく、チラシ配布やホームページのリスティング広告等でも地域を絞った展開をすれば効率よく認知度を高めることができます。

 

次に何をもって競争優位性を確立するかという絞り込みに入ります。

例えば、大手ハウスメーカーであれば規模の経済でコスト優位性を高めるという方法もあるでしょう。しかし中小工務店の場合、スケールメリットは働きにくいため、コスト優位性よりも差別化戦略が現実的です。つまり、どのように競合と差別化をして、その結果、どれだけ自社の価値を相対的に高めることができるかです。

単に他社と違いがあるということでは差別化にはなりません。他社よりも、お客様にとって明らかに価値があると判断してもらえなければ選んでいただけませんので、自社の強みは何か、将来獲得すべき成功要因は何かを、お客様の目線で検討していく必要があります。

<関連コラム>
工務店ホームページで自社の強みをどう伝え集客するか

 

認知から納得へ

お客様に認知していただけたら、次にお客様は情報を比較検討して、納得をして購買に進むプロセスとなります。比較検討から納得に進むまでには複数回の接点と、違った角度からの情報のインプットが必要になります。

例えば、1回目は、看板やウェブサイトなどで御社の社名やロゴを見るようなパッと見てわかる視認性とインパクトのあるイメージ広告、関心事にヒットするコラム記事との出会いのようなものです。

2回目は、あらためて御社のホームページにアクセスして具体的な特長を画像・動画などのビジュアルとテキストで理解する。SNSで画像や端的なメッセージなどで継続的に情報を収集し、工務店さんへの信頼を蓄積していく。いわば右脳と左脳での理解の積み重ねです。この間に競合他社のホームページなどもチェックしながらお客様は自分にあっている工務店さんかどうかを比較検討していきます。

3回目は、工務店のOB顧客の口コミやモデルハウスなどで五感でリアルに体感して、質問して対応を確かめながら、確証を得て納得する。これがお客様なりの仮説が検証されるプロセスです。

 

住宅営業に関わらず、景気に左右されず確実に売れ続ける商品には、このような多段階かつ複数のチャネルの組み合わせでお客様が納得できる仕組みが構築されています。工務店ホームページは、ホームページ単体ではなく、工務店さんの営業プロセスそのものに組み込まれる形で有効に機能するのです。

まとめ

今や工務店経営にとってホームページは欠かせない重要なチャネルです。9割の工務店さんが既に自社サイトで何らかのマーケティングを実施しています。その中で、地域No.1工務店さんが、より一層の地域でのブランディングを確立するためには、お客様が明確に他社と違って優れていると判断できるだけの差別化されている状態の認知度を目指す必要があります。さらに認知の段階から購買行動に進んで納得して契約いただくためには、様々なメディアやチャネルからの複合的な情報提供による理解をしていただく必要があります。工務店ホームページは、住宅営業のプロセスに組み込まれて運用されることで効果的な営業チャネルとして機能することになります。

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