BIMとは?|職人不足や建築士不足の解決策にも
日本の少子高齢化に拍車がかかる中、どの業界においても人材不足は否めません。
特に、建築業界においては職人不足や建築士不足は深刻な問題です。
そんな中、注目されているのが「BIM」。
まだまだ聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、これからの建築業界において重要なキーワードとして注目されています。
今回は、そんなBIMについての基礎知識からメリット、今後期待される役割について紹介します。
目次
■建築業界の人材不足が深刻
■BIMとは?建築業界にイノベーションをもたらす新たな技術
■BIMがもたらすメリットとは?
■BIMの導入実態は?
目次
■建築業界の人材不足が深刻
日本では少子高齢化がかなり前から問題視されていますが、団塊の世代が定年退職を迎えた10年ほど前からはどの業界においても人材不足が問いただされています。
特に、豊富な知識と経験が必要な建築業界においては、人手不足は顕著です。
人材不足もさることながら、建設業に携わる人員の高齢化も年々進んでおり、1990年には55歳以上の労働者率が約20.2%だったのに対して、2016年には33.9%まで上昇しています。
一方、29歳以下の労働者率は1990年で16.8%、2016年では11.4%というデータも出ています。
(「厚生労働省|労働市場分析レポート|建設業における若年労働者確保の課題について」より)
その解決策として多くの企業が雇用環境改善などに取り組んでいますが、そもそも就業する若者人口が減り続けている現状では、すぐに効果を発揮することは難しいでしょう。
そこで今求められているのが、「業務の効率化」です。
特に、設計するにあたって効率を上げることが人材不足の解決のカギと考えられており、BIMは、設計から施工、維持管理までの情報をデータ化することで、業務効率化だけではなく、デザインにおいても技術革新できる新たな技術として期待が高まっています。
では、BIMとは一体どのような技術なのでしょうか?
■BIMとは?建築業界にイノベーションをもたらす新たな技術
BIMとは、Building Information Modelingの略で、2009年に本格的に普及し始めました。
コンピューターシステム上に、実際の建築物と同じ立体モデルを構築して、設計デザインや施工をデータ化する仕組みで、世界中で導入が進んでいます。
従来のCADシステムでも、平面を立体(3D)化することはできましたが、BIMシステムには下記の情報も含まれているため、設計だけではではなく、施工やアフターメンテナンスなど幅広いシーンで活用することができます。
- 2Dデータ
- 3D(立体)データ
- 寸法
- 品番
- 価格
- 数量
- 素材 …
今まではこれらの情報はCADデータ、カタログ、仕様書、積算表などに分散されていたため、それらを全て並行して把握しながら作業することは困難でした。
また、従来の3D CADは、2D図面を作成してからそれを元にCGを作るため、細かな修正が出る度に平面図や立面図などをそれぞれ手直ししなくてはなりません。
しかし、BIMの場合はそれぞれのパーツに最初から3D情報が組み込まれているため、CG上で設計の変更が可能ですし、それに連動して2D図面も自動修正されます。
パソコンの画面上でブロックを積み上げて建物を作っていくようなイメージです。
■BIMがもたらすメリットとは?
BIMは、今まで別々のシステムや資料上で管理していた多くの情報を一本化できるため、設計・施工業務において大きなメリットをもたらします。
・設計監理業務の効率化やワークフロー改善
今までは設計デザイン以外にも、関連法規や素材の性能を調べたり、面積計算や積算など様々な作業が伴いました。
そのため、建築士は着工前だけではなく施工中も多くの時間を費やさなくてはいけませんでした。
しかし、BIMを導入すると、建材に関するデータが全て集約されるため、今までにかかった時間を大幅に削減できます。
また、個人スキルによる差が生まれにくいため、均一したレベルの設計が可能となるのも大きな利点です。
・設計の不整合を排除
今まではプラン修正の度に、平面図や立面図、断面図などの関連図面や、パースや模型、積算表などをいちいち作成し直さなくてはいけませんでした。
そのため、いくら慎重に作業をしていても、資料間で不整合な箇所ができてしまうことも少なくありません。
しかし、BIMでは全てのデータが連動して自動修正されるため、図面の整合性が取れ、施工時のトラブルや資材ロスも未然に防ぐことができます。
・効果的なプレゼンテーションの実現
一般の方では平面図などの2D情報から立体的な完成予想図をイメージすることは困難です。
しかし、BIMでは、設計途中の段階からも3Dイメージを確認することができ、画面上で打ち合わせをしながら修正することもできます。
また、打ち合わせ段階での施主様と建築士の認識違いも防げるため、トラブルやクレーム防止にも効果的です。
・受注チャンスの拡大
先進国を始めとして、BIMの導入は進んでいます。
特に、2010年頃から急速にインフラプロジェクトが盛んになった香港やシンガポールでは入札の際にBIM導入が条件になっているケースも多いですし、EU諸国でも入札におけるデジタルツールの導入が推奨されています。
つまり、海外へ販路を広げたい場合には、BIM導入は絶対条件と言えます。
・AIとの連携が可能
建設業には、BIMだけではなくスマートフォンなどの端末との連携や、3Dプリンターの導入など、年々デジタル化が進んでいます。
このような技術発展が進む中、近い将来AIによる施工監理や建物管理も現実味を帯び始めました。
BIMを早い段階から導入することで、これらの時流に乗り遅れることなく、より高レベルなサービスを施主様に提供できるようになります。
■BIMの導入実態は?
これほど画期的なシステムにも関わらず、残念ながら「聞いたことはあるけどよく知らない」「使いこなせそうだからあまり興味がない」という方はまだまだ少なくありません。
では、実際にBIMを導入している企業がどれほどあるのでしょうか。
日経BPコンサルティングが480社に行なったアンケート結果によると、以下のようなデータが出ています。
このデータからも分かる通り、未だBIMシステムを導入している企業が半数ほどしかありません。
導入済みの企業は主に大手ゼネコンなどが中心で、未だ中小規模の設計事務所などは未導入のところが多いのが現状です。
しかし、年々導入企業が増加している実態もあり、今後建築業界においてBIMの重要性がより高まることが想定できます。
近年では、BIM導入の理由として「他社との差別化」や「海外需要の取り入れ」を挙げている企業もあるり、今後建築士として活躍の場をさらに広げるためにも、BIMを使いこなせるスキルは必要となるでしょう。
■まとめ
少子高齢化に伴い、建設業の労働人口は年々減少している中、BIMは業務の効率化を図るだけではなく、建物を設計からアフターメンテナンスまで徹底管理できる画期的なシステムです。
現状ではまだまだ実績は十分ではありませんが、そんな今だからこそ他社との差別化を図るためにも導入を前向きに検討するタイミングと言えます。
また、建築士としてさらに活躍の場を広げるためにも、BIMを使いこなせるスキルは欠かせません。
今までのワークフローを大きく変えることに抵抗がある方も少なくないでしょうが、ぜひ一度BIM導入について検討してみてください。
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