空き家再生ビジネスの“今”。メリット・デメリットやポイントを解説
少子高齢化が進む日本において、今大きな問題となっているのが「空き家の増加」。
住宅ストックが増加の一途を辿っている昨今、新たなビジネスとして注目されているのが「空き家再生ビジネス」です。
不動産会社や工務店、リノベーション会社、そして個人までもが次々と参入していますが、まだまだその詳細を知らない方も多いでしょう。
そこで、今回は「空き家再生ビジネス」の基礎知識から、コツまで解説します。
「新たなビジネスチャンスを掴みたい」「事業を拡大したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
■2000年以降“空き家”が急増
■“空き家再生ビジネス”普及のきっかけは「空き家法の制定」
■“空き家再生ビジネス”とは?どんな仕組み?
■「儲からない」って本当?必要なスキルは?
■成功の鍵は「同業他社との差別化」
■まとめ|ブルーオーシャンだからこそ早めの対策が必要
■ 空き家再生ビジネスをするためには、不動産的知見と建築的知見の両方が必要で、さらに認知度を高める工夫が欠かせません。
■ 私たち“ミライスタイル”が、建築業界専門のWEB運用会社として、専門知識を持ったスタッフがチームで御社をサポートします。
目次
■2000年以降“空き家”が急増
日本の「空き家問題」は、年々深刻化しています。
国土交通省の発表によると、2018年時点で総世帯・約5,400万世帯に対して、住宅ストック(既存住宅)数は約6,200万戸と、約16%も多いことが分かっています。(参考:国土交通省)
つまり、もう既に住宅は“余っている”ということです。
特に2000年頃からその増加スピードは早まっており、特に問題視されているのが、二次的利用(賃貸転用や売却)されておらず長期間不在の住宅です。
長期不在の空き家数を1998年と2018年で比較すると、なんと1.92倍にまで増えてしまっています。
全住宅数に占める長期不在空き家の割合は、全国平均で5.6%、人気の高い首都圏に近い都道府県でも5.1%にまで及びます。
国土交通省の調べでは、空き家の7割以上を占めるのが一戸建てであり、その3/4以上が昭和55年以前に建てられたいわゆる「旧耐震建物」と言われています。
そのため、そのままでは住まい手がつかず、どんどんと劣化がひどくなり、個人ではどうしようもなくなってしまっているのが現状と言えます。
■“空き家再生ビジネス”普及のきっかけは「空き家法の制定」
全国的に放置されて劣化が進んだ空き家が問題となり、2014年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家法)」が制定されました。
この法律は、長期間誰も住んでおらず朽ちている空き家の撤去及び再利用を促すことが目的です。
以下に該当する住宅に対して、所有者への管理指導や行政代執行、税控除の停止などを行えます。
倒壊の危険性がある住宅
住宅の屋根や外壁、基礎など主要構造部に大きな問題があり、倒壊などの危険性がある住宅
衛生面に問題がある住宅
ゴミの不法投棄や排水不良など、近隣へ衛生面で悪影響がある住宅
管理できておらず景観を損ねる住宅
植栽が近隣へはみ出していたり、雑草が放置されていたりするなど、所有者の管理が行き届いておらず、地域の景観を大きく損ねる
近隣の生活環境を乱す可能性がある住宅
放火や盗難、その他犯罪が行われるリスクが高い住宅
これらの住宅は、法のもと「特定空家」に認定され、市町村など自治体による立ち入り調査や、所有者情報の入手、是正への指導・助言・勧告、税金の特例除外などが実施されます。
特に、固定資産税・都市計画税の特例除外の効果は大きく、空き家問題解決の大きな糸口として期待されています。
なぜなら、この税特例こそ、空き家が増えている原因とも言われているからです。
住宅用地適用部分のうち、最大200平方メートルまでを「小規模住宅用地」といいます。
引用:つくば市
固定資産税の課税標準額は、価格の6分の1の額とする特例措置があります。
都市計画税の課税標準額は、価格の3分の1の額とする特例措置があります。
この特例措置は、住宅用地に住宅があることは条件であるため、空き家を解体してしまうと特例の対象外となります。
そのため、住んでいなくても解体せずそのままにしてしまうケースが増えたのです。
しかし、空き家法の制定によって、管理の行き届いていない住宅は、いくら現存していても税控除を受けられないことになりました。
そのため、解体撤去や転売する所有者が増え、結果的に空き家再生ビジネスの普及をもたらしたのです。
■“空き家再生ビジネス”とは?どんな仕組み?
空き家が今後も増え続けるであろう日本において、空き家再生ビジネスへの注目度は高まっています。
特に、今まで新築住宅を取り扱ってきた企業にとって、新たなビジネスチャンスとして期待されています。
特に人口減が進んでいる地方都市では、空き家を抱えて困っている所有者も多く、それらを活用したビジネスを展開している会社は少なくありません。
では、具体的にどのような仕組みで空き家再生ビジネスは成り立っているのでしょうか?
そのフローを見てみましょう。
〈空き家を入手する〉
不動産会社が最も得意とする分野ですが、最近では地方自治体が運営する「空き家バンク」などを活用し、個人や工務店など、様々な方が購入を試みています。(参考:Re:BARAKI|空き家バンク)
近年では、登記情報などを手がかりに、所有者へコンタクトを取り、直接売却交渉をする会社も少なくありません。
〈不動産価格を見越して計画を立てる〉
手に入れた空き家の価値を見極め、どれほどの改修をするかの計画を立てます。
〈建物用途を決める〉
地域のマーケティングを調査し、住宅をそのまま住宅としてリノベーションするのか、オフィスや倉庫などに変更するのかを検討します。
買い手や借り手がつくプランニングをしなくてはいけないため、不動産的知識だけではなく建築的知識、デザイン的知識も必要となるでしょう。
空き家再生ビジネスとして扱われる主な建物用途は、以下の通りです。
- ・分譲中古住宅(リノベーション済み住宅、買取再販住宅)
- ・賃貸住宅(シェアハウス含む)
- ・貸しオフィス(シェアオフィス含む)
- ・民泊用物件
〈リノベーションする〉
工務店やリノベーション会社は自社で設計施工ができるため、コスト面などで大きく有利です。
リノベーション後の売却時に発生する契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)も踏まえ、新築の60–70%程度の価格で売却できるプランを立てることをおすすめします。
賃貸の場合は、原価コストをかけ過ぎない点に注意しなくてはいけません。
〈買い手・借り手を探す〉
リノベーション後は、物件の買い手・借り手を探さなくてはいけません。
不動産会社に委託するケースもありますし、自社で広告などを打ち出して募集する方法もあります。
空き家再生ビジネスは、簡単に言うと「空き家をリニューアルして、売却利益もしくは賃貸収益を得る」モデルです。
空き家購入という初期コストがかかるのが基本ですが、最近ではサブリース契約(転貸借契約)という方法を取る会社も増えています。
価格の安い空き家を再活用するため、不動産投資の中でも利回りが良くリスクが低いと言われています。
ただし、ビジネスとして成り立たせるには、空き家物件の見極めが重要なポイントとなります。
リノベーション費用を想定して物件を選ばなくてはいけませんし、買い手・借り手が付く魅力ある住まいに変えなくてはいけません。
そのため、個人よりも中小規模の不動産会社や工務店、リノベーション会社が多く参入しています。
■「儲からない」って本当?必要なスキルは?
空き家ビジネスは「儲からない」というような情報も目にしますが、その原因として「中古住宅見極めの難しさ」や「マーケティング調査不足」が挙げられるでしょう。
また、参入障壁がそれほど高くないため、地域によってはライバルが多い可能性もゼロではないでしょう。
しかし、本来は空き家が増え続けている日本において、大きなビジネスチャンスなはずです。
政府も空き家活用を大きな課題としており、住宅はスクラップアンドビルドではなく、リノベーションして住み続けるのが主流になりつつあります。
空き家再生可能ビジネスには、物件を見極める審理力・地域の需要を把握するためのリサーチ力・消費者の心を掴む設計デザイン力がなければ、思うような収益は見込めません。
また、その地域の特性を踏まえたビジネス展開も必要となるため、まさに地場の不動産会社や工務店などにうってつけの事業と言えます。
■成功の鍵は「同業他社との差別化」
空き家再生ビジネスは、空き家量に対して参入している会社がまだそれほど多くないため、当面の間はブルーオーシャンと言えるでしょう。
ただし、ただ取り組めば利益が見込めるという訳ではありません。
参入するからには、同業他社と差別化することが必要です。
「地元密着を強みにする」
資金力のある大手企業と差別化するために最も有効なのが、地元密着を強みにすることです。
特に住宅を扱う場合は、買い手や借り手に取って会社が近くにあることは大きなメリット。
「困ったときにはすぐに駆けつけてもらえる安心感」「地域の特性を知り尽くしている安心感」を武器にしてみましょう。
「ターゲット層を絞る」
住む人の世代や家族構成、ライフスタイルによって適した間取りは異なります。
そのため、どの層も狙うのではなく、ある程度ターゲットを絞ることも重要です。
子育て世代やDINKS、高齢の方など、空き家周辺の住民特性をリサーチすることが欠かせません。
「リノベーションに特徴をつける」
断熱性や省エネ性、意匠性など、リノベーションに何か特徴をつけるのもおすすめです。
何かに特化していると、全体的にきれいになった物件よりも、消費者の購買意欲を掻き立てる可能性があります。
また、競合物件との差別化もしやすくなるでしょう。
「WEB活用で認知度を高める」
いくら魅力的な物件に生まれ変わったとしても、それが消費者の目に届かなくては意味がありません。
ホームページやSNSの運用など、場所や時間を問わず多くの人に認知してもらえる工夫が必要です。
■まとめ|ブルーオーシャンだからこそ早めの対策が必要
空き家再生ビジネスは、今後も市場が拡大することが予想されます。
つまり、やり方次第では大きなチャンスとなるということです。
まだまだ参入している会社はそれほど多くないため、まさにブルーオーシャン。
ただし、工夫せずに取り組んでも、思ったような収益は見込めないかもしれません。
他社との差別化をするためにも、ポイントを押さえた経営戦略が必要です。
特に、自社の強みやコンセプトを出来るだけ多くの人に見てもらうことが最優先事項。
そのような場合は、思い切ってプロにWEB運用を任せてみてください。
「本来の業務に追われてWEB運用にまで手が回らない」という方におすすめします。
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