東京の有名な木造建築
木材を多用し、木造と鉄骨造を組み合わせた現代の東京の木造建築をご紹介します。
有明GYM-EX(正式名称:有明展示場)
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使用された有明競技場から転用改修された鉄骨造一部木造 地上3階建の大型の展示場です。
当時注目を浴びた世界最大級スパン約90mの複合式張弦梁構造の木質大屋根のダイナミックな美しさが改修後も活かされています。
国立競技場
法隆寺の五重塔からインスピレーションを得たと言われる木材の屋根や軒庇が特徴的な使われた競技場です。森林認証を取得したカラマツ、スギなどの国産木材が約2,000㎥使われています。
高さは約47m、大きさは南北方向約350m、東西約260mという規模で、地上5階+地下2階です。
WITH HARAJUKU
木の温もりが感じられる地下3階、地上10階の主構造鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造の建築物ですが、多くの木材が使われています。
半屋外の空間には江戸時代の丘「源氏山」を再生した木材の階段状のテラスが設けられ、建物内外に施された木材が落ち着いた雰囲気を生み出しています。
浅草文化観光センター
伝統的木造住宅を積み重ねたように見える木製のルーバーとガラスの組み合わせが美しい複合的な文化センターです。
内部の木製ルーバーの勾配天井が懐かしさを感じる趣を演出しています。
江東区立有明西学園
江東区の公立小中一貫校である江東区立有明西学園には、建材のおよそ9割に国内産の木材が使われた木造建築の校舎が建築されました。
木材に囲まれて過ごす時間から生まれる視覚や触覚が学びに繋がる木育と、木の文化を伝承すること、そして大量の国産材を使うことを目的に計画されました。
公共建築賞、グッドデザイン賞、ウッドデザイン賞、日本建築家協会優秀建築選など多数の章を受賞しています。
野村不動産溜池山王ビル
東京メトロ溜池山王駅の近くに建つ約470㎥の木材を使用した木造と鉄骨造を組み合わせた地上9階+地下1階、最高高さ41.56mの木造化・木質化オフィスビルです。
小田急小田原線「参宮橋駅」
「木と緑に溶け込む『杜』の玄関口」というコンセプトを基にデザインされた木造建築と鉄骨造を組み合わせた駅舎です。明治神宮への玄関口として、緑の多い周辺の環境に溶け込む木の温かみが感じられる駅です。
日本の伝統的な有名木造建築
日本の伝統的な木造建築物は、日本各地に多数ありますが、その中から有名な木造建築をご紹介します。
法隆寺
推古15(607)年に建造された1300年以上の歴史がある聖徳太子ゆかりのお寺で、現存している五重の塔は全焼した初代伽藍に変わり700年頃に建て直されたと言われています。
姫路城
江戸時代初期に建築された白鷺の群れのように見える美しい姿と、軍事的な最大規模の天守などな強固な構造を併せ持つ日本の名城のひとつです。
世界の有名木造建築
世界の国々で建築されている木造建造物の中で、近年建築された大型木造建築と、古くから残る伝統的な大型木造建築をご紹介します。
メトロポール・パラソル
スペインのセビリアにある地下1階+地上3階建てで高さは28.5メートル、10000平方メートルを超える規模の大きなキノコの傘のように見える木造建築です。
Brock Commons Tallwood House (バンクーバー)
ブロックコモンズはカナダで建造された18階建の木造建築です。エレベーター部分はRC構造になっていますが、ほとんどが木造建築です。
プレオブラジェンスカヤ教会
ロシア・カレリア地方のキジ島にある18世紀に建てられた玉葱型ドームが特徴的な木造建築の教会です。
テアトロ・ファルネーゼ
1618年から1619年にかけてイタリアで建築されたルネサンス様式の木造建築の劇場です。上に拡がる円形の観客席が舞台を囲むプロセニアム・アーチという構造を持つ劇場の中で最も長い伝統があります。
世界的に見直されている大型の木造建築と日本の現状
接続可能な世界を目指すという世界共通の目的の中で、木材は鉄やコンクリートにはない二酸化炭素(co2)を吸収すると共に、室内の空気環境を清浄化して二酸化炭素(co2)の排出量を減らすという働きがあります。
今後、中層木造建築物が多く建築され、都市居住者の9割がそこに住めるようになれば、co2の排出量を2100年までには106ギガトン削減できるという試算が科学誌のネイチャーに掲載されています。
そのような考え方から近年は木造建築を見直す国が増えてきつつあります。日本人にとって木造住宅はなじみのある木造建築ですが、世界の国々では木造の高層ビルに挑戦する試みが次々に進められています。
例えばスウェーデンの首都ストックホルムでは、2025年から7千戸のオフィススペースと2千戸の住宅を備え世界最大規模となる木造都市の計画が、不動産開発業者から発表されたことをメデイアが報じています。
既にカナダバンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学には、Brock Commons Tallwood Houseと呼ばれる18階建で高さ53mの高層木造建築の学生寮が建築されています。
また、2016年にはロンドンでDaslton Laneと呼ばれる9階建ての木造建築集合住宅が建築されました。建築時には温室効果ガスの主な原因となる従来の鉄筋コンクリート構造と比較してco2 が大幅に削減されたということです。
日本では2階建てまでの戸建て住宅は木造建築が一般的ですが、高層ビルや集合住宅にはRC造が多く使われています。
ただ、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が平成22年に実施されて以降、競技場の屋根など一部に木材を使ったり、鉄骨造と木造を組み合わせたりする木造建築は増えつつあります。
この法律の目的は豊富にありながら活用されていない日本の森林資源を活用することです。
木材自給率の動向 令和4年(2022年)の木材自給率は40.7%となりました。 前年と比較すると0.4ポイント低下しました。 用途別に見ると、建築用材等の自給率は49.5%で前年と比較すると1.5ポイント上昇、非建築用材等の自給率は34.2%で前年と比較すると1.3ポイント低下しました。
建築資材としての国産材の自給率は徐々に向上していることがわかります。同時にウッドショックで高騰した輸入材価格の建築資材への影響は、ピークを過ぎたとはいえまだ続いています。また、世界情勢の変化でいつ価格が変動するのか予測がつきません。
高層建物から戸建て住宅まで、木造建築を増やすことはco2を削減して世界の掲げている目標に貢献します。
木造建築に国産材を使うことは日本の資源を有効に活用することと、安定した価格と納期で建築資材が供給されること、そして過疎化が進んでいる林業をする地域の活性化に繋がります。
ただ、大型木造建築に携わるだけの知識と技量のある建築士はまだまだ多くはありません。その為、限られた競技場や公共施設だけではなく、マンションやオフィスビルに木造建築を増やしていく為には、高層木造建築に強い優れた建築士と建設会社が求められます。
ミライスタイルは木造建築に関わる建設業と建築士の皆様を建築WEB制作という形で応援いたします。
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