工務店経営に立ちはだかる“6つ”の課題とは?対策はある?気になる疑問を徹底解説
長く工務店経営をしてきた方にとって、世間で取り糺されている“建設業界の問題”は、気になるトピックス。
特に、民間プロジェクトの動向や、今後の課題については、早めに知っておきたいところでしょう。
そこで、今回は今後工務店経営に関わるであろう6つの課題について、対策と併せて解説します。
建設業界の動向についてもお話ししますので、「新たなビジネスチャンスを掴みたい」「事業の幅を広げたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
■建設業界を取り巻く現状や市場動向は?
■工務店を経営する際に知っておくべき6つの課題とその対策
■集客は“プロ”に任せてみませんか?
■ 人材不足や受注獲得を目指すためには、労働環境の見直しや集客方法の変更など、柔軟な施策検討が必要です。
■ 私たち“ミライスタイル”が、建築業界専門のWEB運用会社として、専門知識を持ったスタッフがチームで御社をサポートします。
目次
■建設業界を取り巻く現状や市場動向は?
建築・建設産業は、地域のインフラ整備やメンテナンス、その他災害時の迅速な復旧など、人々の快適で安全な暮らしを支える重要な役割を担っています。
また、日本経済に与える影響も決して小さくありません。
ところが、近年、建築業界は決して“好景気”とは言えない状況が続いています。
その指標となるのが、政府が毎年発表している“建設投資額”。
ピーク時の1992(平成4)年度・約84兆円から、2011(平成23)年度・約42兆円まで落ち込み、2021(令和3)年度には多少増加傾向に転じたものの、約58兆円までにしか復旧していません。
つまり、ピーク時から約30%も、市場規模が縮小しているということ。
民間事業に限定すると、2021(令和3)年度の規模は35.6兆円で、これは昭和末期と同等の水準です。
■工務店の抱える6つの課題とその対策は?
最盛期と比べると減少している建設市場。
その原因は、業界が抱える大きな問題や課題にあります。
対策方法も併せて紹介しますので、ぜひ経営施策を検討する上での参考にしてください。
その① 高齢化・若者離れによる「人材不足」
建設業界が現在抱えている最も大きいな課題が、「人材不足の解消」です。
現場では急速な高齢化と若者離れが進んでいます。
後継者の確保に頭を悩ましている経営者の方は少なくありません。
国土交通省の発表によると、2021(令和3)年度末の建設業就業者数は約485万人で、建設業界が好景気であった1997(平成9年)と比べると約29%も減っています。
特に、技能者(工事現場で直接的な作業を行う労働者)の減少は著しく、1997(平成9年)の455万人から2021(令和3)年の309万人と、約32%も減少しているのです。(参考:国土交通省|最近の建設業を巡る状況について)
従事者の減少と併せて深刻なのが、「現場の高齢化」。
建設業に従事している人の年齢を見てみると、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化・若者離れが顕著です。
60歳以上の技能者は全就業者の25.7%というデータもあり、10年後にはその大半が現場を離れることは想像に難くありません。
つまり、今後の更なる人材不足は避けられないということです。
そのため、今から次世代への技術承継や限りある人材の有効活用、若者の入職促進による将来の人材確保は喫緊の課題となります。
採用対策だけではなく「この会社で働きたい」と思わせる労働環境の改善が不可欠となるでしょう。
〈勤務時間・休日の見直し〉
建設業が古くから抱えている問題点は、「長時間労働・休日不足の常態化」です。
国土交通省の調べによると、明らかに他産業よりも勤務時間が長く休日が短いことが分かっています。
年間の総実労働時間については、全産業と比べて340時間以上(約2割)長い。
また、20年程前と比べて、全産業では約255時間減少しているものの、建設業は約50時間減少と減少幅が小さい。
建設工事全体では、技術者の約4割が4週4休以下で就業している状況。
(引用:国土交通省|最近の建設業を巡る状況について)
この現状を変えない限り、優秀な若者を確保することは難しいかもしれません。
〈“働き方”を選びにくい〉
他の産業と比べてリモートワークなどの勤務形態を選びにくいことも、若者離れの原因と言えるでしょう。
現場ありきの産業であるため、全てをリモートで行うことはできませんが、設計作業や事務作業、顧客との打ち合わせなど、場所を限定せずに働ける“選択肢”を作ることは重要です。
〈まだまだ“3K”のイメージが強い〉
昔から、建設業界は「きつい・汚い・危険」と3Kのイメージが根強く、ワークバランスを重視する若者の思考とは、どうしてもマッチしませんでした。
そのため、若い人材を確保するためには、この3Kのイメージを払拭する取り組みをすることが必要不可欠です。
福利厚生や勤務体系など、総合的に見直す必要があるかもしれません。
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その② ネガティブなイメージを払拭するための「新・3K実現」
国土交通省では、建設業界の3K「きつい・汚い・危険」を払拭し、新3K「給与・休暇・希望」を実現させるための取り組みを行なっています。
現時点では、公共事業を中心に実験的に行われているに留まっていますが、今後は民間事業へも拡大することが期待されています。
〈“給与”に関する取り組み〉
社員に労働に見合った正当な給与を支払うために、業界全体で労務費の見直しが必要とされています。
また、国土交通省では、各下請け業社からの労務費見積もりを尊重することも重要視しています。
プロジェクトに関わる全ての人に対して、その働きが正当に評価される仕組みについて考える必要があるでしょう。
〈“休日”に関する取り組み〉
中小企業ほど週休2日や祝日の休みを確保できていないところは少なくありません。
その主な原因は、顧客の要望を優先するあまり適正な工期設定がされていない点や、経費の削減を目論むことにあります。
「労働基準法」の改正によって、建設業については2024(令和6)年4月1日から“罰則付きの時間外労働規制”が適用されることとなります。
また、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」改正では、適正な工期の設定が発注者の責務として明記されています。
そのため、今後は住宅業界などの民間事業においても、大幅な労働環境改善が見込まれます。
〈“希望”に関する取り組み〉
建設業界の人材不足を解消するために、「誇り・魅力・やりがいの醸成」に関する取り組みも行われています。
建設に携わった建物によって「便利になった・快適になった」と言われる“やりがい”や、後世に技術を残せるたり地図に残るプロジェクトに携われる“誇り”こそ、建設業界で働く人のモチベーションにつながるはずです。
また、若者離れが深刻な業界だからこそ、活躍のチャンスが多いとも言えるでしょう。
このような他産業にない魅力を採用時にうまくアピールすることができれば、人材不足の悩みが軽減されるはずです。
今後は、大企業だけではなく中小企業であっても、この“新3K”を意識した柔軟な対応が求められます。
その③ 注文住宅の「新設棟数減少」
国土交通省が2023(令和5)年初めに発表した「建築着工統計調査報告(令和4年計分)」によると、新築住宅総戸数は前年比0.4%増の約86万戸と、2年連続で微増しています。
これだけみるとそれほど悲観的になることもないように思われますが、詳しく見ていると注文住宅に限れば、前年比−11.3%の約25万戸と落ち込んでいます。
注文住宅の着工戸数は、なんと13カ月連続で前年比を下回っているのです。(参考:国土交通省|建築着工統計調査報告)
これは、1960年以来の低水準とも言われています。
貸家や分譲戸建住宅、マンションは前年比で増加しているものの、その傾向もいつまで続くか分かりません。
新築戸数だけではなく、床面積も減少傾向にある点も懸念点です。
特に持家(注文住宅)の減少は大きく、1999(平成11)年と比べると、半数近くにまで落ち込んでいます。
今後はより少子高齢化が進むことは明確であり、人口がこのまま減少すれば、さらに新築住宅の需要は減少してしまうでしょう。
そのため、施工会社による物件の争奪が激化することは避けられません。
今まで安定した受注を獲得してきた工務店であっても、今後は特色や強みを作り、他者との差別化を図る必要があります。
その④ 新築からリノベーションへの「需要変化」
住宅ストック(既存住宅)は増え続ける一方です。
総務省の発表してる住宅・土地統計調査によると、空き家の総数は過去20年間で、576万戸から849万戸と急激に増加しています。
特に、賃貸用・売却用の住宅を除いた住宅は、20年間で1.9倍にも膨れ上がっているのです。(参考:国土交通省|空き家対策の現状について)
つまり、住宅は既に余っているということ。
さらに、住宅の高性能化・長寿命化が進んでいるため、今後は欧米のようにリノベーションを繰り返して住み継ぐケースが増えてくるでしょう。
実際に、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの発表した「住宅リフォーム市場規模」によると、2020年は7兆3100億円、そのうち修繕維持費は6兆600億円と、増加の一途を辿っています。
政府も積極的に中古住宅・既存住宅の活用を推奨しており、税控除や補助事業などに取り組んでいます。
そのため、今後よりリフォーム・リノベーション業界が賑わうことが予想されます。(参考:国土交通省|既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み)
新築住宅の着工件数が減っている現状を踏まえると、今まで注文住宅を中心に施工していた工務店も、徐々にリフォーム・リノベーションへと事業をシフトしていかなくては生き残れないかもしれません。
片手間ではなく、思い切ってリノベーション専門会社へと生まれ変わった会社も少なくありませんし、不動産会社がリノベーション産業へ参入しているケースも増えています。
その⑤ 実務の「ICT化」
国土交通省では、大きなプロジェクトを中心に、現場のICT(i-Construction)化を進めていますが、今後はが中小規模の会社にまで普及することが考えられます。
人口減少や高齢化が進む中にあっても、これらの役割を果たすため、建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要不可欠。
(引用:国土交通省|i-Constructionの推進)
国土交通省では、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i-Construction」を推進し、建設現場の生産性を、2025年度までに2割向上を目指す。
ICT化とは、業務に関わる図面・見積書その他の資料をデジタル化して管理すし、さらにオンラインでのコミュニケーションを進めることを意味します。
これからは、現場においてもスマホやタブレットを活用し、生産性の向上に努める必要があるでしょう。
スタッフ同士や関連会社との情報共有が円滑かつ迅速に行えるため、更なる業務の効率化や生産性向上も見込めるはずです。
中小規模の工務店にとって、一気に業務形態を変えることはコスト面・労力面で難しいかもしれませんが、今後の業界全体におけるITC化は止められません。
そのため、少しずつでも準備をしておくことが重要です。
ICT化を行えば、労働環境の改善や若い人材の確保も期待できます。
その⑥ 集客方法の「オンライン化」
建設業界の中でも、B to C(企業が直接個人へサービスを提供する)の工務店は、チラシや口コミ、訪問営業などアナログな集客方法を行なってきた会社が多いでしょう。
しかし、現代のコアな顧客世代である30〜50代のインターネット使用率は非常に高く、2020年の全年齢におけるインターネット利用率(個人)は83.4%なのに対して、13歳~59歳までの各階層では90%を超えています。(参考:総務省|令和3年版情報通信白書・令和4年版情報通信白書)
インターネットの利用目的は、「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ことである点にも注目です。
つまり、多くの人が工務店を探す際にもインターネットを利用するということ。
そのため、自社ホームページの充実ややSNS運用は、今後の集客確保には必要不可欠です。
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■集客を“プロ”に任せてみませんか?
工務店の経営を今後も安定して継続させるためには、労働環境の見直しや生産性の向上など、取り組まなくてはいけない課題が多くあります。
その中でも、自社の認知度を高めて集客につなげるには、自社ホームページやSNSの運用は欠かせません。
しかし、中小規模の会社ですと通常業務に追われて、なかなかそこまで手がつけられないという会社も多いでしょう。
そのような場合は、思い切ってプロにWEB運用・SNSブランディングを任せてみませんか?
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